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銀座のパキスタン料理店「ガンダーラ」で。右がセリムさん。 |
世界の人口のおよそ5分の1がイスラム教徒だと言われます。イスラム教徒の多く住む国はニュースによく登場しても、その国の民族や文化、社会についての理解は日本ではまだまだ進んでいません。日本にもイスラム教徒は住んでいますが、直接話をする機会も少ないのが現状です。
「料理を食べながら、イスラムの文化に触れてみよう」という会が5月末、東京・銀座の「パキスタン料理」のレストランで開かれました。主催は京都の「イスラーム文化センター」。メニューは「チキンカレー、野菜カレー、タンドリーチキンに焼きたてのおいしいナンとごはん」で、どれもスパイスがたっぷり効いています。
会ではまず、センターの代表をつとめるトルコ出身のギュレチ・セリム・ユジェルさんが「こんにちは」「いただきます」といった挨拶の言葉や、イスラムの食文化について、講義しました。「断食月」は一日中食べないのではなく、夜みんなで一緒に食事をとることが重要なことや、結婚式や出産のお祝い事では「大勢の人を食事でもてなす」のが普通であること、等々………。取材した山口智子リポーターにとっては、意外で驚くことばかりでした。
そして、イスラム教徒が多い国でも、トルコとパキスタン、アラブ諸国やインドネシアでは、それぞれ似ているところもあれば、全く違うところもたくさんあることをあらためて知りました。この日の参加者は子供から年配の方まで10数人。皆さん積極的に質問もしていました。
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子供たちは積極的に質問もしていました。 |
イスラムと日本の文化交流にセリムさんが取り組むようになったのは、日本に留学して来た翌年、「湾岸戦争」が起きたのがきっかけです。その時、湾岸戦争について、「同じイスラム教徒としてどう思っていますか?」と色々聞かれたそうです。「同じといってもトルコとアラブでは違うところもある。まだまだ日本にはイスラムへの誤解があるようなので、解いてゆきたい」とセリムさんは考えたんです。それ以来、「イスラムについて語り合う会」や、料理を一緒に食べたり、時には、料理を一緒に作る会を京都や大阪などで開いてきました。
東京で料理の会を開いたのは5月で2回目。セリムさんは「食事が間に入ると、アットホームな雰囲気も出るので、草の根レベルの交流ができます。初めて会った日本人の家族とイスラム教徒の留学生がつきあいを始めるといった、いい形の縁もできるんです」と話していました。
そして、この会は「できるだけ多くの人に味わってもらい、話をしたい」ということで、会費は無料ですが、「一人一回限り」の参加です。参加者は「トルコについての質問にいっぱい答えてもらいました」とか「顔が見えるといろんな話を率直に聞けるのがいいですね」と、それぞれに楽しんだようです。「まずは固定観念にこだわらず、自分で文化に接してみるのが大切です」とセリムさんも話していました。
この会、6月は池袋の「トルコ料理」店で開かれました。またこの会とは別に東京では、どんな質問でもOKという「イスラーム文化 トークの会」がほぼ毎月開かれています。
トルコ以外にも様々な国から来たイスラム教徒が日本にはいます。仕事で来ている方、留学生、日本人と結婚した方など様々です。調べてみれば、他にも様々なイベントや教室、講座などが見つかるかもしれません。手始めには、「自分の家の近くの、イスラム世界の国のレストランに行ってみるのもいいかもしれない」と思った山口リポーターでした。
関連情報・お問い合わせ先
- イスラーム文化センター
http://www.islamjapan.net/index.html