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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

視覚障害者のためのパソコン教室

放送日:2007年06月09日
パソコン教室「スラッシュ」」
パソコン教室「スラッシュ」。並んで座っているのが圓山光正さんとみち子さん。
東京・杉並区のJR荻窪駅近くのビルの一室に、視覚障害者のためのパソコン教室「スラッシュ」があります。代表の圓山光正さんが「1人でも多くの視覚障害者にパソコンを使って、より豊かな生活をしてほしい」と考え、妻のみち子さんと一緒に、1991年に始めました。98年には区からデイサービス施設として認可されています。
視覚障害者はパソコンに「音声読み上げソフト」を入れて使います。文字を入力すると音声で読み上げられますし、画面に表示されるホームページやブログなどの内容も音声になります。それを聞いて画面の表示や入力した文字を確認しながら、操作するんです。操作はマウスではなく、全てキーボード。本当の意味で「ブラインドタッチ」なんです。
スラッシュでは基本的に、圓山さんご夫妻も含め、教える方も障害者。圓山さんの話では、「見える人はどうしても視覚に頼ってしまいます。だから教える時に、画面のここ、といった指示を無意識のうちにしてしまいますが、それでは視覚障害者は絶対にわかりません。音声を確認しながら、こう言っているから、こうです、という形で納得してもらう形にするためには、視覚障害者が教える方がいいんです」と話します。
「スラッシュ」には、画面が見えるボランティアもいます。例えば、誤動作の理由がパソコンの故障なのか、自分の操作ミスなのかわからないような時は、サポートします。画面に表示される文字と音声がどうしてもずれる場合もあり、そういう場合も見える人が確認します。

「スラッシュ」では、視覚障害者が視覚障害者にマンツーマンで教える。
「スラッシュ」では、視覚障害者が視覚障害者にマンツーマンで教える。
「スラッシュ」は基本的にパソコン初心者が対象です。最初は機械の基本操作や文字の入力ですが、その後は、教わる人それぞれのニーズに合わせて習うことを決めます。崎山敏也記者が取材した日は、携帯のメールの打ち方を習ったり、ネットの通販に挑戦する人もいました。
携帯のメールを習っていたのは、「スラッシュ」に通って3年という杉並区の菅井孝雄さん。ワープロ、ネット、メールはすでに一通りできます。旅行好きの菅井さんは「時刻表も駅に電話で問い合わせたりせずに、自分でパソコンで調べられるので、ずいぶん便利になりました。またインターネットで、きょうはどんな日だろうか、とか色々調べるのも楽しみです」と話します。まだ携帯のキーの配列はちょっと苦手だということで、一生懸命キーを音声で確認しながら、メールを打っていました。
一方、パソコンを始めて4年という杉並区の酒井聡さんは、好きな音楽をネットで集めたり、競馬のデータベースを作るのに使っています。失明した当初は家に閉じこもりがちだったという酒井さんは、パソコンをやってみようかな、と思うまでもちょっと時間がかかったそうです。教室に来るのも最初は家族やガイドに付き添われていました。しかし、今は1人で電車に乗ってきますし、教室の終わった後は、飲みに行くのが楽しみになっています。そして、最近、研修生という形ですが、教える側に回っているんです。

これまでに「スラッシュ」ではおよそ1300人が学びました。また、毎日の教室の他、電話で質問や相談もできますし、パソコンを買う時に、付き添ってアドバイスもします。こうした教室や講座は、個人がボランティアで教えたり、障害者団体などが教室や講習会を開く形で各地にあることはありますが、まだまだ充分ではないのが現状です。そういう状況もあって、「スラッシュ」には日本全国から、そしてベトナムやインドネシアなど海外の視覚障害者も勉強に来るそうです。
視覚障害者は全国に30万人とも言われますが、パソコンの使用者は音声ソフトの販売実績などから2万人程度とみられます。使えば生活を豊かにしてくれるパソコンですが、使える視覚障害者も、習える場所もまだまだ少ないんですね。

また、ITの技術の進歩に伴って、困ったこともあります。例えば、ネット上では「画像」の多いものが増えています。画像の部分では、音声は「イメージ」としか言ってくれません。そういう時に、画像に内容を表す「文字」もついていれば、音声を頼りにキーで操作する視覚障害者には使いやすくなります。「行政機関などではそういうページも増えてきたけど、もっと一般にも広がってほしい」と、圓山さんは話していました。また、教室に1人では来られない人も多いので、付き添うガイドの養成も大事だということでした。

ITの便利さや楽しさを障害者も含めた全ての人が味わうためには、まだまだ課題は多いようです。

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