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「日本入れ歯リサイクル協会」に集まってきた「入れ歯」 |
埼玉県坂戸市に「不用になった入れ歯」を集めている「日本入れ歯リサイクル協会」というNPO法人があります。そのまま再利用するわけではなく、価値のある金属を「入れ歯」から取り出すんです。
「日本入れ歯リサイクル協会」代表理事で、歯科技工所を経営する三好勇夫さんの説明によりますと、
保険外の高価な入れ歯だけでなく、保険が適用される「入れ歯」の金具や歯のかぶせもの、詰め物などには「金銀パラジウム合金」がよく使われています。平均「5グラム」ぐらい使われていて、1個2500円〜3000円くらいになるようです。
三好さんは去年、近くにある取引先の明海大学歯学部の教員の方と雑談していた時、「ただゴミになるのは、もったいない」とアイデアがひらめきました。そして去年の12月、大学や歯科医師らの協力を得て、NPOを設立したんです。「入れ歯」をリサイクルして得られる収益は戦争や貧困に苦しむ世界の子どもたちのためにと、事務経費を除いて全額、「日本ユニセフ協会」に寄付しています。
入れ歯は合わなくなって2年半から3年で作り直す方が多いとみられます。三好さん達は、厚生労働省の統計や歯科治療の現状から、少なく見積もっても50億円分の価値がある入れ歯が、毎年捨てられていると推計しています。三好さんは「とにかく捨てられるのを防ぎたいんです。それが世界のこどもたちに役に立つんだという認識を皆さんに持ってもらいたい」と話していました。
送ってくる「入れ歯」には手紙が添えられていることが多く、 「入れ歯の行き先が見つかった安心感」や「役に立つことへの喜び」が綴られています。「日本人は優しい気持ちの持ち主が多いなあ、とあらためて感じました」と、 三好さんは話していました。
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代表理事の三好勇夫さんの下には毎日多くの電話がかかってくる |
これまでの半年間でおよそ5000個の入れ歯が集まっていて、3月末までの段階で「日本ユニセフ協会」に330万円を寄付したそうです。
三好さん達は「回収箱」を置かせてもらえる歯科医院や高齢者の集まる公共施設などを探しています。また、自治体の中には、役所に回収ボックスを置くことを前向きに検討している所もあるそうです。「リコー」のグループ企業で、社員およそ700人の「リコーリース」では、「環境・社会貢献推進室」が電子掲示板を使って先日、社員に「不用になった入れ歯があれば」と、呼びかけたところだそうです。
集めてくれる自治体や企業が増えていけば、三好さん達の負担も減るし、「入れ歯リサイクル」の輪をもっと広がって行きそうですね。
問い合わせ先は「日本入れ歯リサイクル協会」0120−24−1083(フリーダイヤル)
関連情報・お問い合わせ先
- 日本入れ歯リサイクル協会
http://www.shokuiku.or.jp/station/