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FUKUSAKUの広告 |
障害をもった人が働く「福祉作業所」の商品が買える「ネットショップ」が去年の11月、東京の調布市に誕生しました。名前は「FUKUSAKU」。福祉の「福」と作業所の「作」を合わせました。「福が咲く」という意味も込められています。
運営しているのは調布市の「ビジネスコンピューターサービス合同会社」。代表の今泉兼親さんは大手メーカーに勤めていましたが、「ITを必要としている地域の中小企業を支援したい」と起業しました。「FUKUSAKU」について今泉さんは「障害者自立支援法の施行で、障害者にも負担が求められるようになりましたが、作業所の商品の販路が広げるのが難しく、作業所の経営が苦しくなると言う現状をテレビ番組で知ったのがきっかけです」と話します。
取材した今年1月の時点では、「FUKUSAKU」には今泉さんの呼びかけにこたえた市内の6つの福祉作業所の17の商品が出品されています。ショップの実務を担当している今泉利恵子さんのお勧めの一つは「かぼちゃプリン」。「生産性や日持ちを重視しないからこそ美味しいんです」と話します。また「ネックレス」や「メガネ紐」も手作りで丁寧に作っていて「すごく良いものです」と話していました。他にケーキやアクセサリー、バッグなど、パソコンでショップのページを見てみると、どれも写真入りで、写真からクリックしていけば簡単に注文できるようになっています。
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インタビューに答える(左から)今泉利恵子さん、今泉兼親さん、亀田良一郎さん=「しごと場だいすき」で。 |
「FUKUSAKU」に出品している小規模通所授産施設「しごと場大好き」の施設長、亀田良一郎さんに生駒佑人記者が話を聞きましたが、亀田さんは「販路を広げて収入を増やすために、ネット販売自体はやりたいとは思っていましたが、色々あって、行動をとれずにいたんです」と話します。11人の障害者が働く「しごと場大好き」の職員は4人。普段の仕事で手一杯なうえ、ブログを書くことならできても、「ネットを仕事で使う」だけの知識はなく、ネットショップの運営は難しかったようです。そこに今泉さんが声をかけたということで、メガネ紐や花瓶などを出品しています。
また、「しごと場大好き」を運営する社会福祉法人「調布を耕す会」は近くに10人の障害者が働く喫茶「カフェ大好き」も開いています。こちらは、カフェで出している「かぼちゃプリン」や「シフォンケーキ」を「FUKUSAKU」に出品しています。
ケーキなどはカフェで毎日販売していますが、組み紐や陶芸製品などは、福祉ショップに置かせてもらったり、年に何度か、調布市内でバザーを開いて売るぐらいだったということで、ネットショップには期待がかかっています。
今泉さんの話では、ショップのページへのアクセス数は毎月着実に増えていて、これからは携帯サイトからの販売も計画したり、調布市にも協力を求めて行きますということでした。
また、「しごと場大好き」の亀田さんは「ネットショップにリンクを張ってもらっていて、それぞれの作業所のホームページが見れるようになっています。直接買ってもらわなくて
もちろん売り上げも伸びてほしいんですが、まずは、「福祉作業所とはどういう場所なのか?障害者がどういう風に働いているのか?」知ることにもつながると考えているようです。
調布だけでなく、全国各地の様々な福祉作業所では、障害を持った人が毎日真剣に様々なものを作って働いています。ネットショップはその存在に目を向けたり、「障害者の自立」を考えてもらうきっかけにもなりそうです。
関連情報・お問い合わせ先
- 社会福祉法人「調布を耕す会」
http://www.tagayasukai.com/