最近「食育」への関心が高まり、地域や学校などで、「食育」についての様々なイベントや教室が開かれています。
山口智子リポーターが取材したのは神奈川県松田町で月1回開かれている「食育リトルシェフ」という教室。名前の通り子供たちが自分で料理を作ります。
「食育リトルシェフ」は松田町の近くに農場を持つ「YGL自然生活創造連盟」とNPO法人「自然体験活動推進協議会」が協力して開いています。挑戦するメニューは子供の生活習慣病、アレルギーやアトピー、肥満などを考えて選んだもの。素材は玄米や野菜が中心で、自然生活創造連盟の農場や、地元でとれた無農薬のものを使っています。
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けんちん汁に入れる野菜を切る子供たち |
山口リポーターが取材に行った1月28日は「新春 旬菜和の膳をつくろう!」ということで、「すいとん入りけんちん汁」などのメニューに挑戦しました。住む町も学校も学年も違う7人の小学生が、町民文化センターの調理実習室で、包丁を使って野菜を切ったり、切った野菜を炒めたりしていました。
この教室では、野菜を丸ごと全部、「ねぎのひげ」も「大根の皮」も使います。「自然生活創造連盟」は、田畑を耕しながら、「自然や食べものの大切さ」を大人向けに発信する活動を行っています。ところが、周辺に住む人たちの間から、アレルギーやアトピーの子が多いので、子供たちにも「食事の大切さ」を教えてほしいという声が出てきたんだそうです。そこで2年前に文部科学省の「子どもの居場所づくりプラン」として認可を受け、自然体験活動推進協議会と協力して、始めることになったんです。
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先生の指示の下、一生懸命、材料を炒めます |
この日は、家族や友達をお客さんとして招くことになっていて、時間までに完成させようとみんな一生懸命。2年前から参加しているベテランから、3〜4回目という子供まで、話を聞くと「みんなと色々話しながらできるから楽しい」「おいしくできたと思うけど、大変だった」「家でもいろいろ料理する」といった答が返ってきました。準備が全て終わると、お店の名前も全員で考えます。「おいしいリトルシェフの店 ほのぼーの」になりました。
これまでは、作ったものを家に持ち帰ることはあったそうですが、できたてを食べるのはお父さん、お母さん達も初めて。あるお父さんは自分の子供の包丁さばきに感心しながら「料理教室はいろいろありますが、本当に食べ物とかにこだわっている場はほとんどないので、ありがたいです」と話していました。また、あるお母さんは「家でも毎日のように作ってくれるので助かります」と話し、けんちん汁を美味しそうに味わっていました。
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リトルシェフの店、開店! |
教室にいる大人は、2人の先生だけ。そして、先生からの指示は、「ごぼうはささがきに切る」「次は人参を切る」という必要最低限のことだけで、あとは子供達が自分で考えて動きます。大きい子は小さい子を見守っていて、野菜の切り方を教えたり、包丁の持ち方を教えます。そして、野菜を炒めている横で、手の空いた子が後片付けをやっていたり、お皿の準備をしたり、みんなテキパキしていて、山口リポーターはびっくりです。この日先生をつとめた自然生活創造連盟の石井聡美さんは「子供のやりたいという気持ちを大事にしています。とにかくやりたいということは自主的にやってもらうようにしています」と話します。
全て作業が終了すると「あいさつができたか」「包丁が安全に使えたか」「後片付けができたか」といった項目を自分でチェックするシートが配られます。基準を満たすと「リトルシェフのリーダー」になれるので、子供達は「早くリーダーになりたい!」と頑張っていました。
「食育リトルシェフ」では食べ物のことだけでなく、コミュニケーションやあいさつ、後片付けなど普段の生活でも必要なことも身につきそうです。「学年も学校も違う同士が一緒に取り組むのは貴重な機会だし、食育を通して子供達の可能性が広がって行きそうですね」と感じた山口リポーターでした。