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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

不登校の子供のための公立小中一貫校

放送日:2006年12月09日
八王子市市立高尾山学園
八王子市市立高尾山学園
「勉強についていけない」とか「いじめにあった」など様々な理由で「不登校」=学校に行けなくなった子供たちを受け入れる場所は様々ですが、山口智子リポーターは東京・八王子市が設立した不登校の子供のための小中一貫校、「高尾山学園」を取材してきました。
学園が開校した3年前、八王子市には不登校の小中学生が600名近くいました。そこで「いろんな体験をさせて、自信をつけて」という学校ができないかと考え、国の構造改革特区制度を使って、学習指導要領にとらわれない教育ができる学校として設立されました。
始業時間は9時30分。朝が苦手な子供もいますし、地元の知り合いと顔を合わせずに登校できるようにと、通常の学校より遅くなっています。
生徒それぞれに勉強は進み具合が違うので、授業は2人から3人がついて行われます。(先生・指導補助者・講師の組み合わせ。4科目は2人体制、5科目は3人体制)現在在籍しているのは小中あわせて114人ですが、小学生14人に対して先生が4人、中学生は100人に対して先生は12人。他に講師や指導補助者が13人と手厚い体制がとられています。 また授業時間は普通の学校の28時間より少なめの23時間。そして90分の「体験講座」が週2回あります。
「体験講座」で作った絵手紙
「体験講座」で作った絵手紙
「体験講座」の数は20。「合唱」に「落語」、「絵手紙」に「パソコン」と様々ですが、山口リポーターは銀細工とバスケットボールの講座にいた子供たちに話を聴きました。銀細工を作っていた小学生は「粘度が銀になるのがすごく不思議。すごい楽しいです」と話し、バスケをやっていた中学生たちはいきいきと、自由な校風を楽しんでいました。銀細工を教えていた講師は「最初はなかなか打ち解けてもらえない時もあったんですが、作品ができあがって、一緒に良かったねといえると、こちらも楽しい気持ちになってます」と話し、バスケの中学生たちを見ながら、山村幸太郎校長は「この子達がなんで不登校だったんだろう?という感じにまで変わった子もいます」と話していました。
普通の教室の他には「プレイルーム」という部屋もあります。教室2つ分の広さで、漫画が置かれ、パソコンや卓球台もあり、児童館での経験が豊富な児童厚生員が2人常駐しています。山村校長の説明では、「授業中でもなんでも、授業がつまらなくなったなぁという時はいつでも来て遊べるような部屋になっています。気持ちのうえで授業に向かない子ども達がここへ来て、まぁ遊んで次の授業は出ようかなという、少しエネルギーを蓄える場所なんです」ということでした。
この他にも「小グループ室」というのがあって、大勢の中に入るのにまだ抵抗がある子が、勉強をしたり、好きなことをしながら、徐々に大勢のなかに入れるようにしています。また「相談室」ではスクールカウンセラーが相談に乗ります。子供達が自分にあう居場所を見つけられるようになっているんです。
「心の休憩場所」になっているプレイルーム
「心の休憩場所」になっているプレイルーム
「保護者室」で子どもの帰りを待っていた母親たちにも話を聞いたんですが、「やっぱり変わってきたというか、なんかこう自信がついてきたという感じです」「来れなかった時期もありましたけど、今は順調に。先生方がいろいろ気にかけてくださるんで、落ち着いて学校に来ています」と話していました。
この2年間の高尾山学園の卒業生のほとんどは高校や専修学校に進学しています。特に目立って変化があった子では、小グループ室からなかなか出られなかった子で、「高校で生徒会に立候補した」という子もいたそうですし、「高校生活が楽しくてしょうがない。今の私があるのは高尾山学園のおかげです、という手紙をもらった時は、感激しました」と山村校長は話します。
一方で、登校するエネルギーがまだなくて、学園になかなか来られない子供たちもいます。 現在「出席率」はおよそ7割。6割だった最初の年に比べるとあがってきてはいますが、 山村校長は「他の学校では考えられないようなことなんですが、出席率をそれをどのようにしてあげていくかっていうことが課題です。いろんな背景を持っている子ども達に対してどう対応したらいいのか、一律の対応はできないわけですから、先生方が一番苦労されている部分です」と話します。銀細工の教室を手伝っていた先生は、「明るい子もいますし、まだまだ打ち解けてくれない子もいます。あいさつだけでも大変な子は、隣にそっと寄り添うだけとか、一言二言かけるようにするとか、その子が無理をしない対応をしているんです」と話していました。

特区から生まれた高尾山学園ですが、今は法律が改正されて、特区を受けなくても柔軟な対応が可能になっています。一方で、フリースクールを運営していたNPO法人が実績をもとに不登校児童のための中学校を2007年に東京・葛飾区に開く予定です。公立、私立問わず、こういう場は増えつつあるようです。一度は不登校になっても、様々な体験を通して自信をつけ、次のステップに踏み出してほしいですね。