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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

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土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

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大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

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●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

メイクで元気に

放送日:2006年10月28日
東京女子医大の女性生涯健康センター
「リハビリメイク外来」のある東京女子医大の女性生涯健康センター
顔の傷や「あざ」をカバーして、社会復帰を支援する「化粧=メイク」が様々な医療の現場で注目されています。
波岡陽子・情報キャスターが取材したのは東京・新宿区の東京女子医科大学女性生涯健康センター。フェイシャルセラピストのかづきれいこさんが提唱している「リハビリメイク」の外来があるんです。
取材した日に来ていた二人の女性に話を聞くと、山形から来たという1人の女性は「自分がちょっと変われるかな、と思ったんです」と話します。この女性は福祉施設関係の勤めをしているのですが、高齢者がお化粧をしてもらって、表情とかすごく変わるところを見たことがあるそうです。
また、もう1人の30代の女性は「逆さまつげの手術をして、その痕が残ってしまって、人と目を合わせたりするのがすごく苦手になってしまった」と話します。このまま人としゃべれなくなってしまうのは、人生もったいないと思い、勇気を出して来たそうです。
女性生涯健康センターの加茂登志子所長の話では、アザや傷跡のある方だけではなく、皮膚の病気の方や、メンタルな部分で悩みを抱えている方も来るということです。

「リハビリメイク」の診察室は、机にカルテと一緒にメイク道具が並んでいる以外は普通と変わりません。そして、すぐにメイクをするのではなく、まずは「カウンセリング」です。家族のこと、どんな生活をしているか、メイク以外も悩んでいることはないか、等々、かづきさんが1人1人に親身になって話を聞きます。中にはこれまで話せなかったこともあるのか、泣き出す方もいました。
その後メイクを開始するんですが、最初は顔の半分にメイクを施します。半分の化粧で自分の顔がどう変わるのかまず分かってもらうんです。山形から来た女性は鏡をのぞくと、「すごいですねえ。覚えて帰りたいです」と大きな声をあげました。かづきさんは「元気になれるでしょ」と声をかけます。
かづきれいこさん
波岡キャスターのインタビューに答えるフェイシャルセラピストのかづきれいこさん
このように、かづきさんの提唱する「リハビリメイク」の目的は、メイクそのものではなく、「元気になること」。元気になるメイクは1人1人のおかれた状況によって違います。その人にあったメイクをするためにまずはじっくり話を聞くんです。
さて、顔の残り半分はスタッフが本人と手順を確認しながらメイクします。これは普段「自分でメイクできる」ようになるため。自分でできると自信にもつながり、生きる意欲が湧いてきます。診察を終えた30代の女性に聞きますと、メイクの効果にびっくりしながら「人にもちゃんとニコニコと話ができそうです。これで少しずつでも自分の顔を受け入れていけるかな、と思います」と話していました。
かづきさん自身子供の頃、心臓の病気のために冬になると顔が真っ赤になり、それをメイクで「隠して」いました。しかし、隠すために化粧品を厚く塗るので、くずれたりして余計誰にも会いたくなくなっていました。だから「リハビリメイク」は「隠す」ことが最終目的ではありません。かづきさんは「お化粧できれいに隠す方法を覚えても、1年くらいすると化粧なしで来ます。化粧なしで来た彼女たちに聞くと、どっちでもよくなった、いずれ化粧できますからあまり気にならなくなった、と言うんです。それが社会復帰なんです」と話していました。
自分に自信を持つと、メイクが必要なくなります。「自分が何の気なしに毎朝やっている化粧が、様々な悩みを抱えた方の社会復帰につながっているんだな」と波岡キャスターは感じたそうです。
女性生涯健康センターの加茂所長の話では、女子医大では医学的なデータも集め、メイクの持つ「効果」が少しずつ証明されてきているそうです。お化粧=メイクは 「病気」そのものを直すだけでなく、QOL=「生活の質」全体をあげていく一つの大事な手段なんですね。

かづきさんは老人ホームや少年院などでもリハビリメイクを行い、大変多忙なんですが、これからは「教育」に力をいれるつもりです。それは「化粧をしなくてもいい日本を作りたいからだ」と話します。
「自分の顔を受け入れられる」ためには、周りの人も変わらなくてはなりません。かづきさんは「私たちは小さい頃から美しいものが善、醜いものが悪、だと教えられがちです。しかし、顔に傷があっても、だから醜いということはないですし、老いることも醜いと思われがちですが、老いたなりの綺麗さ、その人らしさというものがあります。それがわかるような教育に取り組みたい」と話していました。