TBS RADIO 954 kHz TOPページへ ページの先頭です

土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

※こちらは「過去ページ」です。
新しい番組ページは「こちら」です。

土曜朝イチエンタ。堀尾正明+PLUS!

番組からのお知らせ
プロフィール

堀尾正明

堀尾正明(ほりおまさあき)

生年月日:1955年4月24日
出身地:埼玉県
趣味:ゴルフ

もっと詳しく

大学在学中に文学座附属演劇研究所に入り、研究生としてミュージカルに出演。81年にNHKにアナウンサーとして入局、初任地はNHK北九州放送局。
東京へ異動後は芸能畑を担当し、95年開始の『スタジオパークからこんにちは』メインキャスターとなり、人気を博す。
00年『NHKニュース10』のキャスターに抜擢され報道番組を担当。その後『サタデースポーツ』『サンデースポーツ』担当に廻りスポーツ畑へ。2002 FIFAワールドカップのメインキャスターを担当。

長峰由紀

長峰由紀(ながみねゆき)
TBSアナウンサー

生年月日:1963年6月28日
出身地:埼玉県
趣味:演劇鑑賞、相撲観戦

もっと詳しく

●出身高校:埼玉県立松山女子高等学校
●出身大学:立命館大学 文学部 中国文学科
●身長:153cm
●血液型:O型
●入社年度:1987年

人権TODAY

人権に関わる身近な話題をテーマに掲げて、ホットなニュースをお伝えしています。

写真で元気に

放送日:2006年08月26日
綾部峰雪・情報キャスターが今回取材したのはNTT東日本関東病院(東京・品川区)の緩和ケア病棟。ホスピスともいいますが、末期がんなど治療が困難とされている病気を持つ患者に身体や心の苦痛を和らげる医療が行われています。そして、この緩和ケア病棟では月2回、NPO法人「クローバーリーフ」のボランティア、酒井貴子さんによる「出張写真サービス」が行われているんです。
酒井さんの活動は、メイクのボランティアと一緒です。まず患者さんにマッサージやメイクを施し、お気に入りの洋服や着物、ドレスなどに着替えてもらって、思い思いのイメージで撮影するんです。
クローバーリーフの酒井貴子さんに話を聴く綾部キャスター
クローバーリーフの酒井貴子さんに話を聴く綾部キャスター
取材した日に写真を撮ってもらっていた女性は、これまで何度も経験があるそうで、「たまには自分が過ごしている病室で」と普段の様子を撮影してもらっていました。酒井さんの言葉に乗せられて、どんどん表情が穏やかになって、次々にポーズを決めていくのを見ていると、綾部キャスターは本物の撮影会を見ている気分だったそうです。
これまでに撮った写真はベッドの後ろの壁にかわいらしいフレームに入れて飾ってあります。この日は、自分でのりやはさみを使ってフレームを作り、新しい写真を飾っていました。
「最初は恥ずかしいな、と思っていたんですが、だんだん快感になっています。ついつい笑わされて、知らないうちにパチッと撮られています。本当に楽しみです」と女性は話します。酒井さんが来る日が近づくと、娘さんに衣装を選んでもらうこともあるそうです。
一方、ファインダーを通して見ている酒井さんは「皆さんがんの末期で、心も体もつらい状況なんですが、一瞬、本当に命の輝きというか、すばらしい表情を見せられるんです。輝くような笑顔に、目の輝きがとても印象的です」と話します。
以前、ほとんど寝たきりの状態だった女性が母親から譲り受けた着物を着て撮影した時、着付けは大変でしたが、着物をまとって、カメラに向かった途端、背筋がぴんと伸びて、本当に綺麗な表情を浮かべられたそうです。
写真は自分で楽しんだり、病室に飾るだけでなく、家族や病院のスタッフに見せて色々話もするそう。「写真の持つ力」はボランティアを受け入れる病院の側も実感しているようで、NTT東日本関東病院・緩和ケア病棟の責任者の堀夏樹医師は「我々にはできないいろんなこと=治療を写真がやってくれたんだな、と思うんです」と話します。ボランティアがある日は痛みを訴える患者が少ないそうです。「普段痛い痛いと言っている方が、写真を撮っている時は全く痛い顔にならないんですが、我々の前ではなかなかそういう顔をしてくれないんです」と話す堀医師は、緩和ケア病棟の患者が、自分が社会の一員であることを忘れないようにするという点で、非常に大きな意味があると考えているということです。

病室で写真撮影
病室で写真撮影
ボランティアの酒井さんご自身、数年前に病気になり、落ち込んでいた時、写真を撮ることで、元気を取り戻した経験を持っています。それを他の人にもわかちあってもらいたいということで、この活動は始まりました。
写真というのは単純に言えばシャッターを押すだけ。敷居は低いうえに、今はデジカメが当たり前で、簡単に加工もできますから、いろいろ楽しめます。
「クローバーリーフ」ではこのほか、長野県立こども病院の院内学級で「フォトワークショップ」に取り組んでいます。難しい病気で長期入院している子どもたち1人につき1台カメラを持たせて写真を撮ってもらって、その写真でアルバムやカードを作ってもらいます。子どもならではのユニークな視点や大胆な構図には毎回驚かされますし、写真は病気と闘う子どもの心をよく映し出すそうです。ある時、真っ青な空の写真ばかりを撮っていた子がいたので話を聞いてみると翌日退院するということ。晴れやかで開放的な気持ちが現れていたんですね。まさに「写真は心のレントゲン」。
養護学校の訪問学級やフリースクール、老人ホームと「クローバーリーフ」の活動の場は広がっています。

このような写真を使った癒しや心理療法、撮影行為を通して元気になることを「フォトセラピー」といいます。「クローバーリーフ」の活動もそんな「フォトセラピー」のひとつです。このほかにも各地に、様々な「フォトセラピー」の活動に取り組む人や団体が増えています。医療・教育・福祉だけでなく、日常生活の様々な場にも「フォトセラピー」は広がってゆきそうですね。

関連情報・お問い合わせ先