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キティロボットとおしゃべりを楽しむ山口リポーター |
ロボットの技術は最近、様々に進歩していますが、マイクを持った山口智子リポーターとおしゃべりしているのは、キティちゃんの形をした「対話型ロボット」です。
取材に訪れたのは、病気で長期入院している子どもに付き添う家族のための宿泊施設「ドナルド・マクドナルドハウス」(東京・世田谷区)。玄関を入ると、ロビーのベンチにキティロボットが座っていて、山口リポーターは早速、「朝ご飯」の話題で会話が弾んでいました。
このハウスはボランティアで運営されていますが、夕方6時になると必要最低限の人を残して、事務室も閉まり、付き添いで疲れたお母さん達が病院から帰って来る頃には「おかえりなさい」と出迎えてくれる人はいなくなります。それでは寂しいので、「キティロボットだけでも声を掛けてくれたら気持ちも和むのではないか」ということで、このほどハウスにやってきたんです。
キティロボットは身長52センチ、ピンクの洋服とリボンをつけています。人の言葉をセンサーで認識していて、2万通りの会話が可能。ハウスのマネージャーの紀平訓江さんは「ロボットっぽくないので、みんなロボットだと思ってないかもしれません。お子さんなんか特に、あっキティちゃん、なんか話してる、という感じだと思います。みんな知ってるキャラクターですから、そういった意味でも親しみやすいんじゃないかと思います」と話します。
この日話を聞くことができたのは、都内に住む小学2年の男の子とお母さん。すぐ隣にある国立成育医療センターに入院している1歳の女の子の付き添いのため、お母さんはハウスに長期滞在中です。男の子は学校がお休みの週末だけ来ているのですが、小児病棟は15歳以上でないと入れません。お母さんが付き添いの間は、病院の廊下で待っていたり、ハウスで遊んだりしています。
男の子はキティロボットともう何度も会っているようで、会話だけでなく、ストレッチ体操を一緒にしたり、キティロボットが出すクイズに答えたり、と楽しんでいるようでした。ただ、わからない言葉もあるので、思い通りに反応してくれないこともあります。そんな時は「なんでちゃんと答えてくれないのぉ!」とスネていました。そんな時も含めて、お母さんがいない間のいい遊び相手なんです。お母さんも「娘が救急車で運ばれたので、ほんとに突然のことで、最初の頃は、言葉を出すことも自分自身なかなか難しい状態でした。そんななかでもやっぱり声をかけてもらうと嬉しかったです」と話していました。
このキティロボットを製造しているのは名古屋の「ビジネスデザイン研究所」で、「ドナルド・マクドナルドハウス」には無償で貸し出しています。隣の国立成育医療センターでも、試験的に小児病棟に置いているということです。
このほか高齢者向けには、童謡を歌ってくれたり、頭の体操などをしてくれるロボットもあって、デイサービスセンターや老人ホームなどで使われています。人材派遣会社を通じるなどして、全国に数百台が貸し出されたり、 販売されたりしているということです。
「対話できるロボット」というと、イベントやテーマパーク、博物館などで見かけますが、他にも活躍の場はいろいろ広がっています。「人の心を癒すロボット」はこれからさらに身近になるのかもしれません。