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インタビューに答える「バリアフリー協会」の沢田専務理事 |
ホテルなどでお客さんの要望を聞いて、いろいろな手配や案内をしてくれる「コンシェルジェ」。その親切で役に立つ「コンシェルジェ」が、東京・品川区の中延商店街でも活躍しています。商店街近くに住む、主に中高年の「有償ボランティア」で、お年寄りや障害者の「ちょっとした困り事」を代わりにやってくれるんです。
中延商店街の真ん中あたりに、「街のコンシェルジェ」と大きな看板を出した事務所があります。中にはいると、壁にはズラーっと顔写真つきのカードが貼られていて、1人1人のボランティアが自分の得意なことをPRしています。
食事の支度、買い物、今の時期ですと庭の草むしり、電球の取り替え、車で病院などへの送り迎え、デジカメや携帯電話の使い方を教える…。自分のできること、得意なことを生かして「お手伝い」するんです。
サービスを利用したい人は事前にクーポン券を買います。基本は1時間800円。(送迎は30分500円)サービスを受けると、クーポン券でコンシェルジェに払います。800円のうち、事務所の運営費などを除いた500円分がコンシェルジェの報酬となります。
「犬の散歩」を頼んだことがあるという女性は、「知り合いに頼んでもいいんですけど、なんかあった時にやっぱり気まずくなりますし、お仕事している人にそのままその時間を割いて頼むより、一応ボランティアとはいえ、ちゃんと契約出来る方が気が楽です」と大島洋子・情報キャスターの取材に応えて話します。
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「街のコンシェルジェ」の事務所を取材する大島キャスター |
1年半前に始まったこの「街のコンシェルジェ」。現在、商店街の半径700メートルの範囲に住むおよそ200人がコンシェルジェとして登録しています。一方、利用したことがある人はおよそ250人。中延商店街と提携しているNPO法人「バリアフリー協会」の沢田藤司之専務理事によりますと、地域の高齢者のおよそ5パーセントが関わっている計算になるということです。当初は「何をするところなのか、わからない」と疑う人もいたそうですが、「試しに頼んでみたら、良かった」という口コミでどんどん広がったそうです。
地域に眠る人材の発掘にもなるこの「街のコンシェルジェ」。「お手伝い」だけでなく、コンシェルジェを講師にした「楽習教室」も事務所で開かれいて、盛況です。「パソコン」や「絵画」「俳句」「書道」………。ガーデニングを教えている女性は「専門家じゃないんですがとても花が好きで、こういうことが出来るなら皆さんに教えてくださる?って言われて始めたんです。ボランティアのつもりですが、人生の先輩方の生き方などを、これから高齢者になる私にいろいろ教えて頂けます」と話していました。事務所が地域の交流や出会いの場となっているんです。
「街のコンシェルジェ」を思いついたきっかけは、「バリアーフリー協会」の沢田さんがご自身の父親の介護の体験などから、高齢者がいつまでも元気でいられる「仕掛け作り」が大事だと感じたことだそうです。現代版の「持ちつ持たれつ」という関係ができれば、元気なお年寄りもきっと増えるというわけです。
ちなみに、「街のコンシェルジェ」には、報酬は最終的には「品川区内共通商品券」で渡されています。商店街の活性化にもつなげようというわけです。現在、報酬として発行された商品券はその月のうちに、8〜9割が商店街で使われているそうです。
街の「助け合う」関係を取り戻し、商店街の活性化にもつながるこの「街のコンシェルジェ」。順調にいけば、他の街にも広がってゆきそうですね。