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夢人が披露する落語に会場が湧きました
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2005年の12月18日(日)、千葉県柏市の柏第一小学校体育館で「GOTOちゃれんじ2005」というイベントが行われました。
シングルマザーの支援などに取り組んでいるNPO法人「WINK」(http://www.npo-wink.org/)が子供の健全育成の支援事業として取り組んでいる親子参加型のイベントで、毎年1人のお母さんを夢を実現する人=「夢人」に選び、何かにチャレンジしてもらうんです。
2005年の夢人は、「落語」にチャレンジした「三遊亭愛ぽっど」こと天海友恵さん。1人で2人の男の子を育てているお母さんです。
このイベントを始めたきっかけは「WINK」の代表・新川てるえさんが3年前、あるシンクルマザーから「若い頃ジャズシンガーになりたかったんだ」という夢を聞いたこと。 「いま、家庭の中で子供が夢を語りずらくなっている。それはお母さんが自分の夢を考えられなくなっているからではないか」と新川さんは思い、自分の夢を思い出してもらうこのイベントを始めたんです。
今回の夢人、天海さんは前の夫に暴力を振るわれたことが原因で、しばらく言葉がでなかったそうです。気持ちはあるんだけれども、伝えられない。そこで、「言葉にして出したい」ということを表現するために、落語にチャレンジすることにしたんです。
そして、落語へのチャレンジは子供たちのためでもあります。日々の忙しさから余裕が無くなり、子供たちに対して「宿題やったの?」「早く寝なさい」とか小言ばかりを言ってしまう天海さんですが、本当は子供たちと笑顔でコミュニケーションしたいと思っているんです。
天海さんはこの日、出演もしてくれた真打ちの三遊亭愛楽さんに、2ヶ月ほど稽古をつけてもらいました。当日は、この日のために買ったという新しいピンク色の着物を着て、およそ70人のお客さんを前に落語「じゅげむ」を披露しました。取材した池田亜希子・情報キャスターによると、「素人とは思えない絶妙な語り口」だったそうです。
天海さんはまた、小学校の体育館を借りる交渉や、出演交渉など、このイベントのことは何でも自分で決めてきました。 落語以外にマジック、お囃子の実演など、「笑うことを思い出して欲しい」という思いをこめたイベントだったんです。
このイベントを通じて、「毎日楽しくて、自信がついて、夢も持てそうだなあ。自分にもまだまだ可能性があるんだなあ」と思えるようになってきたと天海さんは話します。
終わった直後には、「これからも新しいことにチャレンジしたい」と嬉しそうに話してくれましたし、会場で落語を聞いた方たちも、「勇気をもらいました。うちも子供に対して苛つくことはよくありますから、こういう時間を持つのは大切だと思います」と話す方や、「夢に対して一生懸命になっている方を見ると自分も頑張ろうって思います」といった感想が聞かれました。
会場に来た人たちがこれからどんな夢を持つのか、 来年の夢人がどんなことにチャレンジするのか、楽しみです。