|
演奏する水嶋一江さんとストリングラフィ・アンサンブル |
世界でたった一つの楽器、「ストリングラフィ」をご存じですか?音だけ聞くとバイオリンのようにも聞こえる弦楽器ですが、「絹糸」と「紙コップ」だけで作られているんです。
この「たった一つの楽器」を演奏できるのは、作曲家の水嶋一江さんとストリングラフィ・アンサンブルのメンバーです。池田亜希子・情報キャスターが世田谷区の水嶋さんのスタジオを訪れますと、長さが10メートル前後の絹糸が数十本、スタジオ一杯に張り巡らしてありました。スタジオ全体が楽器「ストリングラフィ」なんです。
|
演奏方法を習う池田キャスター |
糸の両端には紙コップがついています。手袋をはめて糸をこすると、両端の紙コップがスピーカーとなって大きな音が出るんです。糸の長さの違いが音階になります。
まさに「糸電話」の原理を応用したこの「ストリングラフィ」。音に包まれるような、楽器の中にいるような不思議な感覚で、池田キャスターは思わず「ワー」と声を上げていました。
「ストリングラフィ」の面白さは音だけではありません。スタジオやステージ上だけでなく、どこでも楽器になるんです。10数年前、山の中の「森全体」に糸をはりめぐらして、楽器にできないかと水嶋さんが考えたのが最初のきっかけなんですが、これまでに、美術館や博物館、病院など様々な場所を「ストリングラフィ」にしてきました。会場が変わるごとに音は微妙に変化します。まさに「世界でたった一つの楽器」なんです。
|
きらきら星を演奏する池田キャスター |
音を出してみたくなった池田キャスター、アンサンブルのメンバーに手伝ってもらいながら、「きらきら星」の演奏に挑戦しました。結論は「音を出すだけなら誰にでもできる!」。「実際にさわって、ストリングラフィの音に触れることができる」ライブなども数多く行なわれています。
複雑な曲は数人で身体全体をめいっぱい動かして、演奏しますので、ダンスや演劇、体育の要素もありますが、糸を張り巡らすのを手伝えば、「図画工作」ですし、どうして音が出るのか?ドレミの音階が出来るのか?考えながらさわってみれば、「理科」。小中学校での演奏や、時には「科学実験ショー」に参加することもあるそうです。
さて、この不思議な楽器、ストリングラフィのコンサートが、東京都人権啓発センターの主催で11月12日(土)に行われます。
コンサートは2部構成で、前半はクラシックの名曲からポップス、アニメのテーマソングまで様々な音楽の、おなじみの曲をじっくり聞かせます。
後半は、3人の役者さんと共に作り上げる宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」の「音楽劇」。
水嶋さんは「弦楽器の音以外にも、小鳥の声とか、蛙の声とか、風の音とか自然のサウンドを出すこともできます。セロ弾きのゴーシュの中には自然の情景や動物たちとのコミュニケーションがたくさん出てきますので、ストリングラフィならではの表現を存分に使って、その世界を表現します」と話していました。
「様々な音に触れる」という感動を、世代を問わず、大人も子供も一緒に楽しめそうですね。
東京都人権啓発センター主催の「家族で楽しめるストリングラフィ・コンサート」は11月12日(土)に開かれました。