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赤ちゃんのおむつを換える所を見守る中高生たち |
神奈川県相模原市で夏休みを利用して開かれたのは、中学生や高校生が赤ちゃんと触れ合うという教室です。
保健所に集まったのは、ふだん赤ちゃんと接する機会の少ない中高生25人。まず、妊娠や出産や育児の基礎知識を勉強し、そして赤ちゃんと対面しました。最初は「かわいいね」と言うだけで、どう接したらいいのか、みんな戸惑っている様子でしたが、徐々に慣れてきたのか、抱いてみたり、おぶってみたり。みんなでおむつを取り替えるのを見たり、お母さんにいろいろ質問する子もいました。40分はあっという間でした。
この教室は始まって、今年で4年目。この夏も3日間開かれて、どの日もほぼ満員でした。
保健所の保育士の浅野さんによりますと、「定期検診などで、育児中のお母さんに色々話を聞いてみると、1人で孤立したまま悩みを抱え込んでしまっている方が多い。核家族が増えて、地域との接点も少なく、相談するご近所さんもなかなか見つからない。密室で育児をしているようなものだ」ということです。お母さんが育児ノイローゼになったり、お母さんの知識不足で、ちょっとした病気が悪化したり、栄養が偏って発育不全になったり。また、育児のストレスが、幼児虐待につながる場合もあるんです。悩むお母さんは多いんですね。
一方、お父さんが協力することでちょっと楽になる場合もある。ということで、中高生がお父さんやお母さんになる前に、その練習、体験をしよう、というのがこの教室なんです。
相模原市だけでなく、厚生労働省も力を入れ、各地で教室は開かれています。ただまだまだ、教科書や人形を教材にして育児や出産について学ぶ教室が一般的なんですが、中には相模原市のように、両親の協力を得て、「実際に赤ちゃんにふれる体験」をするという機会も増えています。小中学校の総合学習の時間に取り入れたり、将来保育士などをめざす高校生の授業に取り入れたりしているところもあるそうです。
また、育児真っ最中で大変な中来てくれたお母さんたちですが、中には「外で声をかけてくださったりするようになるといいなと思いました。 お年寄りからはよく声かけられるけど、ああいう年代の子は、赤ちゃん連れててもあんまり声かけたりしないと思うので」と話す方や、「どうしても家にいると身内しか接する場が子供の方にもないので、少しずつ機会があって、いろんな人とふれあう場があれば、よい刺激になるかな?」と話す方もいました。
「赤ちゃんとふれあう教室」をきっかけに、地域のみんなで赤ちゃんを育てていこうという雰囲気も生まれそうです。行く行くは「少子化問題の解決」にも一役買うかも知れません。