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東京レズビアン&ゲイパレード2005 |
8月13日(土)、東京・渋谷で「東京レズビアン・アンド・ゲイ・パレード2005」(現 「東京プライドパレード」)が開かれました。
参加者は沿道で応援した人を合わせ、およそ3500人。真っ赤なドレスで女装している人もいれば、普段着にスニーカーの人もいましたし、静かに歩く人もいる一方、音楽にあわせて踊ったり、メッセージを書いたプラカードを掲げる人も。同性愛者のシンボルカラーの「虹の色」の旗や風船が、色鮮やかでした。
ゲイやレズビアンなどの同性愛者や、性同一性障害を持つ人たちが、「性的マイノリティー、少数者の存在を、少しでも知ってもらいたい」ということを様々なやり方で伝えたんです。
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パレード参加者にインタビューする池田キャスター |
一方、パレードの出発点になった代々木公園では一日中、グッズや雑誌の販売、イベントなどが行われましたが、中には先進国で唯一、感染者が増えているエイズウイルス=HIVについて考えるものもありました。パレードの実行委員長の「おかべよしひろ」さんの話では、「エイズの問題はゲイの世界では避けてはいられない問題。大勢の人が集まる機会なので、いろんな人に考えてほしいです」ということで、会場の一角ではNGOがブースを出して、パンフレットやグッズで予防の大切さを呼びかけていました。
会場で池田亜希子・情報キャスターがゲイの参加者に聞いてみると、自分の問題として考えるか、社会の問題として考えるか、微妙な違いはありましたが、皆さん「身近な」問題として感じているようでした。
エイズ予防財団が主催したトークイベントでは、厚生労働省の研究班の報告として、「新たな感染者やエイズを発症した人が増え続けている中、去年HIVに感染した人のうち、6割が男性同士の性行為による感染だということ」が報告されました。また出席者の間からは、「感染者の手記を読むなど、HIVを身近に感じることが大事では」など感染の予防や啓発のための様々な提言がありました。
同性愛者のエイズ対策としては、2年前に厚生労働省がエイズ予防財団を通じて出資をする形で、ゲイの人たちが、気軽に立ち寄って、エイズの情報を手にすることができる場が新宿二丁目に設けられています。「akta」というこのスペースを池田キャスターは取材したのですが、明るいカフェのような雰囲気で、二丁目のお店やイベントのパンフレットなどもあるので、友達との待ち合わせ場所代わりにしている人も見かけました。もちろん資料やパンフレットは豊富にそろえられていて、 検査や病院の情報などを手に入れたり、相談することができるんです。
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代々木公園で開かれたシンポジウム |
ただ、パレードの現場で話を聞いたエイズ予防財団の橋本さんは「エイズはゲイだけの問題ではないことを忘れてはならない」と話します。人間の営みでうつりやすい行為があるということは、ストレートもゲイもみんな一緒。ゲイで無い人はまだ自分達の問題じゃないと思い込んでいるところがあると指摘します。
一方で、橋本さんは「ゲイの間での予防、啓発」に取り組む意義について、「マイノリティーの人に伝わりやすい伝え方や利用しやすい施設。そういうものは実は多数派にとってもすごく利用しやすかったり、わかりやすかったりする。だから、マイノリティーのことをキチンとやれば自然と大多数の人に伝わる」と説明します。
エイズ、HIVへの関心は高いとはいえません。薬の進歩で死亡率は低くなっていますが、感染者が増えているので、感染のリスクは高くなっています。「エイズは他人事ではない」とあらためて感じた池田キャスターでした。