皆さん、アイヌについていろいろ知っていますか?
実際には、学校の授業で少しやった程度ではないですか?
もっと皆さんにアイヌ文化を知ってもらおうと、「ロシア民族学博物館 アイヌ資料展」を現在開いている「川崎市市民ミュージアム」で7月30日、アイヌの楽器「ムックリ」を作る講座が開かれたんです。
この日、およそ30人の参加者が、北海道平取町の二風谷から来た2人のアイヌの先生の指導の下、竹の板を削り、糸を付けてムックリを作りました。
この「ムックリ」は、アイヌではとてもポピュラーな楽器だそうで、長さ15cmほどの竹の板に、糸が両はじに付いていて、中央にある弁を糸を引っ張ることで振動させ、音を出します。
これを口に当てて、口の動きで様々な音を出して演奏するんです。
上手く音が出ると、「びよ〜ん」という不思議な音が出るんです。
この講座に来ていたのは、ほとんどが、中学生から大学生の若い人で、皆さん真剣に黙々とムックリに取り組んでいました。
やはり皆さん、アイヌ文化について知る機会があまりなく、今回の講座で、大変興味を持ったそうです。
「川崎市市民ミュージアム」と共に今回の展示を主催した財団法人「アイヌ文化振興・研究推進機構」の秋野茂樹さんにお話を伺うと、やはり若い人が興味を持つというのは大きな意味があり、もっと知って欲しい、また、アイヌ文化はそんなに遠くにあるモノではなく、言葉にしても、ラッコやトナカイ、また歌手のキロロは、全部アイヌ語だそうなんです。
こういったことからも、アイヌ文化に親しんで欲しいとお話しされていました。
やはりポイントとなるのが、平成9年にできたアイヌ文化振興法だそうで、これは、アイヌの文化や伝統を広めたり、理解を深めてもらうための法律なんです。
それまでアイヌは日本にいる「固有の民族」として認められず、日本人への「同化」を強いられていたため、アイヌ語や踊り、楽器などを学んだり伝統行事を行うことは難しかったんです。
現在北海道に2万4千人、首都圏に少なくとも5千人のアイヌ民族がいるとみられますが、「アイヌ」と名乗り出ることができない人もまだ多く、「アイヌの文化を取り戻す試み」はまさに始まったばかりなんですね。
講座の参加者も今回初めてそれを知って、「民族としてやっと認められて、良かった」と話していました。
この「ロシア民族学博物館 アイヌ資料展」は、ロシアの学者が集めてきたアイヌの貴重な資料の展示を通して、アイヌ文化を知ってもらうもので、8月28日まで開かれています。
今後も、アイヌの模様のコースターを作る体験講座や切り絵講座も開かれます。
こういったイベントを通して、もっとアイヌ文化が広まってくれればと思います。
川崎市民ミュージアム 044-754-4500