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「助っ人講師養成講座」で学ぶ人達 |
世界中には、戦争で住んでいるところを追われたり、民族や宗教、政治的な理由などで迫害されている「難民」が大勢います。この難民問題に取り組んでいるのが、以前日本人の緒方貞子さんが務めていたことで知られるUNHCR=国連難民高等弁務官です。
そして、UNHCRの事務所と協力して難民問題を広くアピールし、民間から寄付を受ける窓口となっているのが「日本国連HCR協会」。この協会にはボランティアとして草の根の活動を行う「助っ人会員」がおよそ400人います。
この「助っ人会員」の中から生まれたのが「助っ人講師」。もっと難民問題について詳しく理解して、活動を広げたい」という声に応える形で、協会が去年養成を始めたんです。
「助っ人講師」になった会員はこれまでに50人。7月に5回目が開かれ、10人の方が3日間の講座を終了しました。講座では、難民問題の現状や関わる法律、UNHCRの活動などについて学びます。今回は、スーダンやミャンマーの難民の現地報告も含まれていました。そして、最終日に「どんな活動が自分にできそうか?どんな工夫が必要か?」考えるんです。
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修了証を受け取る佐藤友香さん |
佐藤友香さんは、聖心女子大学の「SHRET」というサークルで、日本の高校生とアフガニスタン難民との間でDVDレター交換をするプロジェクトを進めています。そこで、「自分の知識不足とか感じて」、受講したそうです。
佐竹善仁さんは、ビル管理会社にお勤め。講座で得た知識を元に、ビルの中で難民支援の「催し」などを企画できないかと考えています。
鳴尾啓子さんは、留学したイギリスの大学で、友人に「難民」がいたことが、難民問題を考えるきっかけだったと話します。様々な企業で働いている方に、募金箱や、難民支援の雑誌などを置いてもらうよう働きかけたいと考えています。
赤松直美さんは、通っている教会で開かれている「子どもたちの学習の場」で、今回講座で学んだことを伝えて行きたいと話していました。
いずれも、それぞれの方にとって「身近な所でできそうなこと」です。
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助っ人講師の協力で生まれた絵本「ほんの少しの勇気から」 |
「助っ人講師」は職種も年齢も様々。最近では、「ほんのすこしの勇気から」(求龍堂 税抜き千円)という絵本も生まれました。
戦争が起きている国から転校してきたオレアちゃんと隣の席になった女の子の物語。オレアちゃんを通じて、日本人にとっては「遠く感じられる」難民問題をもっと身近に感じてほしいという絵本です。
「日本国連HCR協会」管理部門マネージャーの奥平章子さんによりますと、この絵本はいろいろなバックグラウンドを持った「助っ人講師」8人が知恵を絞って生まれたそうです。
原稿と絵を書いたのは放送作家。教師の方が自分の生徒にゲラ刷りで読んでもらって「中学生にわかるような文章」に仕上げました。出版社と話をつなげる人。ホームページを作る人。宣伝に取り組む人。それぞれの「役割」を果たして、「思い」を「形に」したんですね。
奥平さんは「これからは草の根の方たち1人1人が何らかの活動に関わっていく時代。一見、難民支援と関係ないような人こそ、もっともっと活動に参加していただける可能性を持つ人たちだと期待しています」と話しています。