|
ボーカルのmayuさんにインタビューする白井キャスター |
6月25日、東京・池袋のライブハウスに白井京子・情報キャスターが取材に入りました。お目当てのバンドは「こころおと」。「手話で表現する」バンドで、聴覚に障害を持つ人と、健常者が一緒に演奏しています。
「こころおと」のメンバーは13人。うち4人が聴覚に障害を持つボーカル(デフメンバー)です。デフメンバーはは手話で表現、隣で健常者のボーカルが歌いながら手話でも表現します。
「こころおと」は結成5年目。年に数回のライブ活動を行い、CDも2枚出しています。代表の武井誠さんは大学の手話サークルの部長を務めていましたが、サークルの飲み会でライブの感想を話していた時、「聾者」の友達がぽかーんとしているのに気づき、「聞こえない人も聞こえる人も、同じ瞬間に音楽を楽しめる場を作れないか」と考えたのが、結成のきっかけだったそうです。
武井さんは両親が耳の聞こえない家庭で育ちました。「手話はできるし、聞こえない人のことはわかっているつもりだったけど、音楽の力を感じられない人が何百万人もいるんだということに、それまで気づかなかった」と話します。
もちろん「一緒に演奏」といっても簡単ではありません。ボーカルの「わかな」さんに聞くと、一緒にリズムを合わせたり、手話で表現するのはなかなか難しいそうです。それでも「お客さんが笑顔で身体を動かして、私と同じ手話をやっているのをみると、伝わったのかな、と思います」と話していました。
また、リズムを感じたり、歌に感情を込めるのが難しいのが「デフメンバー」。「mayu」さんは難聴で、低いドラムやベースの音がわずかに聞こえるだけ。その「mayu」さんは「音楽は聞くものじゃなくて、心で感じるものです。音楽は音を楽しむと書きますが、楽しみ方はそれぞれ。だからじぶんなりの楽しみ方をすればいいと思います」と話してくれました。身体の動きや、空気の振動、会場の熱気。「音を聞く」だけが「音楽」ではないんですね。
池袋のライブは、オリジナル曲も含め7曲。ロックからポップスまで、ジャンルは様々で、手話は全身を使うので、ボーカルはステージで飛んだりはねたりと、すごい熱気でした。聞こえない人も聞こえる人も一緒に楽しめる手話ライブ。手話のできない白井キャスターも、曲に合わせて、どんどん手話を体得しているような気分だったそうです。
この日のライブには、聞こえない人だけでなく、視覚に障害のある人も来ていましたし、車椅子で来る方もいるそうです。代表の武井さんは、「こころおとのライブは、健常者と障害者が変な先入観なしに、対等な立場でいられる所になりつつある。これからもこういう場を絶やしたくない。」と話していました。
ちなみに目標は「武道館ライブ」。手話音楽が音楽が一つのジャンルになる時が来るのかもしれません。