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安積遊歩さんに話を伺う山口キャスター |
東京国立市の障害者の女性が、「B&B、ベッド&ブレークファスト」というシステムを応用して、「自宅に泊まりにきませんか?」と呼びかけています。
B&Bは「民間の家に朝食付で安く宿泊する」というシステム。 農村の生活を都会に暮らす人に知ってほしいという目的などから広まった形式なので、「宿泊」よりも「交流」に重点を置いています。
「健常者、特に若い人に、障害者の現実に近づくきっかけを与えたい」と、B&Bを始めたのは国立市に住む安積遊歩さん。二階建て一軒家に、ご主人と8歳の娘さん、宇宙ちゃんの3人暮らし。安積さんと宇宙ちゃんは「骨形成不全症」という、カルシウムを吸収しにくくて骨折しやすい病気なので、外出には車椅子を使い、家の中でもヘルパーの介助が必要です。
山口智子・情報キャスターが取材に伺った日は西東京市の滝元優子さんが訪れていました。ヘルパーさんと一緒に台所で準備をした後、居間のちゃぶ台を囲んで晩ご飯。一家3人に、ヘルパーさん、宇宙(うみ)ちゃんの友達、滝元さんに山口キャスター。ワイワイ楽しんで会話もはずみました。
滝元さんは以前泊まりに来たこともあるのですが、ご主人の石丸偉丈さんは、「初めて泊まりに来たとき、連れ合いを車で迎えにいかなくてはならなくなり、娘の面倒は彼女にみてもらいました。泊まりに来ていろいろ手伝わされるという楽しい家なんです」と冗談めかして話します。つまり「お客様扱い」でなく、「障害者と生活するということはどういうことなのか?」そのまま体験できるんです。滝元さんも「宇宙ちゃんの体を拭くのも手伝ったりしました。来るたびにいろんな発見があります」と話していました。
安積さんがB&Bを始めたのはおよそ1年前。月に1〜2人の利用があります。北海道B&B協会の会員になっていますが、鳥取とか大阪から来る方もいます。中高年の方もいますが、20代、30代の若い人が多いそうです。「若い人には、自分が必要とされている、という生の体験ができるのが、いいみたいです」と安積さんは話します。
安積さんは22歳で親元を離れてから、施設や病院ではなく、ずっと地域で暮らし続けてきています。「介助を親とか兄弟とか家族だけでやってた時代は終わりにしたいんです。それには出会わなきゃいけない。なぜかというと出会いがなければ理解がないですから」と話します。B&Bも大事な「出会い」をもっと増やすためなんです。
重度の障害者でも「地域であたりまえに自立して暮らしたい」という障害者はたくさんいます。「障害者自立支援法案」の審議も国会で行われていますが、「負担が増えるのでは」と心配する声もあがっています。
一方で、障害者の生活の現実を知らない人はまだまだ多いのが現状です。障害者が地域で普通に生きていくためにも、こうした「出会い」の機会は大事ですし、もっと増えてもいいのではないでしょうか?
問い合わせは安積さん(FAX 042-574-7127 hidetake0821@ybb.ne.jp)まで。