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講座の受講生に池田キャスターがインタビュー |
介護事業を展開する「ヘルスケア・サポート・ハクビ」が去年、永住資格や就労資格を持つ在日の「フィリピン人」を対象に「ヘルパー2級の講座」を渋谷校で始めました。去年、日本がフィリピンとの間でFTA=自由貿易協定を結ぶことで合意したため、来年度にもフィリピンからヘルパーや看護師の受け入れが始まるのをにらんだ動きです。
受講者の中には、同居している日本人の夫の両親の介護のため、という人もいますが、ハクビと提携してこの事業を推進している「ジャパン・ケア・プロジェクト」の副理事長、中村宏さんは、「今後フィリピンから来るヘルパーたちのリーダーになってもらいたい」と話します。
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レクリエーションの授業の様子 |
「学ぶ」内容は日本人と全く同じで、お風呂の入れ方や食事の介助といった技術や現場での介護実習など。ただ、「フィリピン人はお年寄りへの接し方が上手だ」と中村さんは話します。ホスピタリティに溢れた民族で、カトリックなので敬愛の精神を持っていること。また大家族で暮らしていることが多い、といった理由からです。
取材した日は「お年寄りのためのレクリエーション」を学んでいたんですが、常に笑が絶えず、仲間に入れてもらった池田亜希子・情報キャスターは、「丁寧にやり方を教えてもらいました。誰かが間違えたりしてもそのハプニングを楽しんじゃう!!みたいなところがあって感心しました。」と話します。
ただ、ハクビでは日本語の授業が加わります。受講者は日本に20年近くいる方から数年の方まで様々なんですが、「話すこと」は大丈夫でも、引き継ぎの記録をつけたりするのに必要な「漢字」の勉強がまだまだ必要と、どの受講生も話します。逆にいうと、「日本語の読み書き」という大事な問題をクリアすれば、介護現場の人材としてフィリピン人は期待できるということです。
これまでに講座を終了したのはおよそ100人。およそ20人が既に、病院や老人ホームでヘルパーとして働いています。
池田キャスターが取材したのは八王子市の永生病院につとめる西村アーリンさん。この1月から働いているのですが、素直で明るくて、人気者。お年寄りから「簡単な英語」で声をかけられたりすることもあるそうです。
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西村アーリンさんに話を聴く池田キャスター |
もちろん、まだ働いて数ヶ月なので、失敗もあるし、わからないこともありますが、とにかく彼女は「前向き」で、何か頼まれてもいやな顔をしないし、わからないことはすぐ聞いて、メモするそうです。
永生病院の看護部長、宮沢美代子さんは、「同僚にも良い刺激になります。彼女が入ったことで、職場の意識が高まっています」と話します。
また外国人ヘルパーを受け入れることについて宮沢さんは、「介護の仕事の質を評価するのであって、国籍や民族で評価しているのではありません。だから日本人と同じ待遇ですし、日本人と同じ評価をします」と説明します。「介護の仕事は重労働。日本人でも、思っていたのと違うと、すぐやめてしまう人がいる」そうで、病院内の他の職場からもフィリピン人ヘルパーに来てほしいという声が上がっているということです。
逆にいうと、日本人でもフィリピン人でも介護の現場に向き不向きはあります。「ジャパン・ケア・プロジェクト」の中村さんは、「しっかりしたフィリピン人のヘルパーを養成して、現場で実績を積むことがいまこそ大事だ」と話します。外国人労働力をどれくらい受け入れるべきかはまだまだ議論がありますが、ただ、漠然と不安に思うのではなく、上手く受け入れて行くためには、こういった取り組みが必要なようです。