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美野里中学でヘルパー講座の開講式 |
5月15日(日)、茨城県美野里町の美野里中学校で、「ホームヘルパー3級の養成講座」の開講式が行われました。ここは、社会福祉協議会が中学生対象の講座を全国で初めて、2002年から開いているんです。
開講式に臨んだのは中学2年の30人。早速、「ヘルパーの心構え」などのガイダンスを受け、これから土日や夏休みなどを利用して「60時間」、介護の基礎知識を学んだり、老人ホームでの介護実習に取り組むことになります。
資格を取るのは、働くことが目的ではありません。ボランティアとしてできる範囲で、1人暮らしのお年寄りの家を訪ねて、話し相手になったり、簡単な家事の手伝いをしたりするんです。
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斉藤さんの話に聴き入る中学生たち |
山崎景子・情報キャスターが2年生の倉持ひとみさんと野手あやかさんに同行して取材しました。二人が最初に訪れたお宅では斉藤進さんが玄関先まで出迎えました。話好きの斉藤さんは大変楽しみにしていたようで、ジャージ姿の二人を相手に40分以上、ユーモアやだじゃれを交えながら、話し続けていました。
次に訪れた、鈴木こうさんのお宅では、ケアコーディネーターの方と共に、いろいろと質問したり、
昔話や庭で作っている野菜の話などに聞き入っていました。鈴木さんは、二人と山崎キャスターにお菓子をくれて、「また来てください」とうれしそうでした。ちょっと緊張気味で、話題を作るのに苦労していた二人でしたが、「こんどは色々話を用意しなくちゃ」と意欲満々でした。
中学生がヘルパー3級の資格を取れることに最初に気づいたのは、美野里町社会福祉協議会事務局次長の石川美恵子さんです。町や県、学校の関係者の間を走り回り、「前例がないから」と時には渋る人も説得して、講座の実現にこぎつけました。
石川さんは「子供たちがお年寄りと触れあうことで、子供たちの中で眠っていたやさしさのスイッチが必ずオンになる。卒業後、どんな職についてもどんな生活を送っても、やさしさのスイッチがオンであれば、地域福祉の力になる」と話します。「自分のおばあちゃんの部屋はお年寄りくさいから、と寄りつかなかった中学生が、60時間の講座を受けている間に、自分から部屋の掃除に行くようになった」ということもあったそうです。
高齢社会を迎えた今、地域の人たちで地域のお年寄りを支えることが重要になっています。石川さんは中学生たちが自分の家庭の中の介護だけでなく、地域福祉の担い手になってくれることを期待しているのです。
このユニークな試みは茨城県内の20近い市町村にすでに広がっていますし、沖縄、長崎、栃木、福島などでも始めたところがあるそうです。