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資生堂「wiwiw」担当の田中万里子さんに話を聞く山口キャスター |
働くお母さんが安心して育児休暇をとるための取り組みはいろいろありますが、資生堂がおよそ3年前に開発したのが、インターネットを使って育児休業中の女性を支援するプログラム「wiwiw(ウィウィ)」。山口智子・情報キャスターが取材しました。
「wiwiw」は「ウーマン」の「w」とインターネットの「I」を組み合わせて、女性と女性の間をインターネットで結ぶという意味。育児休暇中の女性が、ビジネスのスキルアップができるような講座を受講したり、会社の上司とメールのやり取りをすることができます。企業や大学、自治体などが購入して、社員や職員に使ってもらいます。
「wiwiw」を利用している企業の一つ、住友金属の鹿島製鉄所の総務部で働く中野由香さんは、1年間育児休暇を取り、去年7月に職場復帰。ウィウィでは「簿記の基礎の講座」を受講していたそうです。「勉強して資格がとれたら、職場復帰したときに胸を張れると思って」と話す中野さんは、職場復帰してから簿記3級に合格しました。
中野さんは収納講座など育児に必要な生活講座も利用しましたが、他には、ワードやエクセル、TOEICなどの基礎講座や、離乳食の作り方、保育園の選び方などの講座もあります。
講座だけでなく、上司とのメールのやり取りも中野さんを助けてくれました。初めての出産、育児だったので、「1年近くも休むと周りの状況がわからないんじゃないか、浦島太郎状態になるのでは?」という不安も大きかったそうです。職場の近況がわかるし、講座を終了したことをメールでほめられたこともあったそうです。
現在「wiwiw」は77社が契約。「次世代育成支援対策推進法」が成立したこともあり、企業も本腰を入れ始めました。資生堂CSR部でウィウィを担当している田中万里子さんは「これまでは、育児休業中の支援というのは、企業の中でもぽっかり抜けていた」と話します。これまでは「普通に休んでいればいい」と思われていたようですが、復帰した時、休暇前以上の力を職場で発揮できるような環境を整えようという方向に変わってきたようです。
また、働く若い女性にとっては、「wiwiw」を利用した人が自分の将来の「モデル」になります。「結婚、出産とキャリアを積むことの両方を実現しているモデルになる人がいないと、一生懸命になれない、という話をよく聞きます」と田中さんは話します。
採用する企業は、去年1年間で倍増し、品川区が自治体として初めて4月から「wiwiw」を導入。今後さらに注目が集まるかもしれません。