
4月2日の人権トゥデイは、障害者向けの自転車についてお送りしました。
東京・足立区の扇にある堀田製作所の堀田健一さんが作る自転車は、「ラクラックーン」と名付けられた3輪の自転車で、手や足などの様々な障害に幅広く対応しています。
両足を使って回転させる普通の自転車のペダルと違い、踏み込み式のペダルですので、片足でも踏み込めば進むんです。
さらに、それでも進まない、坂がつらいという方には、手でレバーをひいて補助する仕組みや、モーターを取り付けたりと、堀田さんは試行錯誤しながら対応しています。
この堀田さん、元々は建築資材の梱包をしていたんですが、26年前に、堀田さんのお子さんの小学校では当時、2輪自転車に乗ることを禁止していたため、3輪なら大丈夫だろうと、三輪の自転車を作り、なおかつ珍しい「踏み込み式」にしたんです。

お子さんが喜んで乗っているのを見かけた足の悪いおばあさんが、自分もこれなら乗れるのでは?と堀田さんに依頼してきてたことがキッカケだったそうです。
今では、評判を聞いて、全国各地から注文が来るようになりました。
なぜ人気があるかというと、堀田さんは、ただ「便利な」自転車を作っているわけではないからなんです。
この自転車は「ぎりぎりの線」まで、身体に残された機能を使うようになっているんです。

堀田さんは、余分なことをすると、体に過保護になり、かえって機能が衰える、とおっしゃいます。
そんな堀田さんの作る自転車はもちろん、オーダーメイド。
値段は、一番スタンダードな自転車で15万円から。
モーターが付くと、39万円から70万円もするんです。
大量生産ができないのでコストがかかるんです。
できるだけ値段を抑えるため、儲けはほとんどありません。
注文が殺到しているので、毎日、小さな作業場で自転車の部品を作りながら寝て、昼間は自転車を買った人の所に点検や修理に行く生活。
いつの間にか26年経ってしまったと、堀田さんは笑顔でおっしゃいます。
この「ラクラックーン」に乗りたいが、ちょっと値段がネック、というお客さんたちが、それぞれの住む自治体に働きかけたそうです。
最初、杉並区が助成金出してくれ、電動で15万くらい、自転車で7万5千円くらい。自転車の半分ではなく、最高で7万5千円だそうです。
府中、足立区、文京区などが対応し、それぞれ金額は違うそうです。
少しでも自転車の楽しさを知ってもらうために、もっとこの「ラクラックーン」が広まれば、と堀田さんは思っています。
そして最近やっと、大量生産への道が見えてきたそうです。

堀田さんは根本的な設計を4つに分け、使う人の身体の具合に合わせて、4つの内、一番近い物を選んでもらい、細かい部品で微調整するシステムを考えているところだそうです。
そうすれば、たくさん作れるようになり、値段も下げられるとおっしゃいます。
堀田さんは、親身になって相談して、作ってきたので、今でもおつきあいがあり、みんな家族になってしまうんですと笑顔でおっしゃいます。
体にあった自転車も大事ですが、そこでできた人間関係も、とっても大切なんですね。
堀田製作所
03−3890−8666