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盲導犬訓練士を目指す松本さん |
「身体障害者補助犬法」が完全施行され、盲導犬を含むいわゆる補助犬の公共施設やレストランなどへの同伴が容易となってきています。ただ、盲導犬1頭を育てるには多くの時間や費用が掛かる為、その数は十分でないうえに、盲導犬を訓練する訓練士の数もまだまだ少ないのが現状です。
訓練士を育成するため、日本盲導犬協会は去年の4月、日本で初めての「訓練士学校」を横浜市に開校しました。これまでは、盲導犬に関わる団体に就職して「研修生」として働きながら、4〜5年掛けて技能を身に付けていましたが、「学校」で集中的に効率良く学ぶことで、その期間を短縮しようというわけです。
2年の基礎過程と1年の専門過程、あわせて3年で卒業ですが、現在は学んでいる1期生は男性4名、女性6名の合わせて10人。訓練生の年齢は18歳から31歳までと幅広く、元青年海外協力隊員や弁護士を目指していた人など経歴も様々です。訓練生の一人、松本健太郎さんは「皆個性的で、年下の訓練生から学ぶことも沢山あり、良い勉強になっている」とこの1年を振り返ります。
授業内容は犬に関する全般の知識の他に英語などの一般教養、実際に盲導犬を使った実習などです。鶴岡記者が取材した当日は、横浜市営地下鉄の「センター南駅」を使って実習を行いました。
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実際の駅で行われる実習 |
訓練は常に犬とコミュニケーションを取りながら行い、犬が正しい行動をした時は「グッド」、間違った時は「NO」と声を掛けます。「犬は人の命令によって行動しているので、
返答をすぐ返してあげることが大事です」と松本さんは話します。この駅での訓練は大勢の人がいる環境に犬を慣れさせる狙いもあり、連絡通路やエスカレーター、階段を使っておよそ1時間、行われました。
「犬はどうやって階段や段差などの障害物を覚えていくのか?」。多和田教務長は「犬にとっては障害物よけゲームなんです」と話します。障害物を避けた時に「グッドだね〜」と犬を誉めてあげることで、もっと誉められたいと、犬が自主的に障害物を探すようになるんだそうです。また、犬の性格に合わせた課題を設定していくことも大事だそうです。
多和田教務長が盲導犬育成で目指しているのは人生の喜怒哀楽を共に出来るパートナー。
「意思を持った違う生き物と共同作業する喜びを訓練生たちには感じて欲しい」と話していました。
問い合わせは「日本盲導犬協会神奈川訓練センター」045−590−1595まで。