子供が熱を出した。でもお母さんは仕事があって休めない。あるいはお母さん自身も調子が悪い。そんな時、まだ少ないですが、病気の子供を預かってくれる、保育園があります。「病児保育室」や「病後児保育室」です。
 |
世田谷の病児保育室ハグルームを取材する綿田実苗キャスター |
世田谷区のいなみ小児科病院に付属する「病児保育室 ハグルーム」にはバス、キッチンにうつる病気にかかった子供を預かる「隔離室」も完備しています。取材した日は1人の水ぼうそうの子を含む6人の子供がいて、水ぼうそうの子供は「隔離室」で休んでいましたが、他の子供は状態に応じて、保育士さんと一緒に遊んだりおやつを食べたり。
利用には事前の登録が必要で、その時、子供の生活習慣や好みなどを書いてもらいます。そして利用したい前の日に予約。朝連れてきたときに状態などを改めて教えてもらって、一日の過ごし方を考えるそうです。ハグルームの主任保育士、蔵本さんと看護士の佐々木さんの話では「とにかく病気を治すのが先決なので、その子が一番安心する環境=家庭の延長上に持ってゆきたいと考えている」そうです。
予約はいっぱいのことが多く、冬場はキャンセル待ちの状態が続きます。というのも世田谷区に「病児保育室」はここ一カ所なんだそうです。

一方、「病児保育」ではなく、病気からの回復期の子供を預かるのが「病後児保育室」。とりあえず病気は峠を越したけど、保育所で他の子供と一緒はきついかな?という時に利用します。
取材したのは横浜市の「あおぞら第二保育園」に併設されている「さくらんぼ」。胃腸炎になったゼロ歳児の子供が1人いて、まもなくお母さんが帰ってきました。お母さんは「ほんとは休んで一緒にいてあげれば、治りも早いかもしれないけど、なかなか休めないという現状があります。こういう施設があると安心して働けます」と話します。
看護士もいるので、食べ物や病気のことなどアドバイスをもらうこともあり、母親の就労支援だけでなく、子育てを支援する場にもなっているようです。
ただ、横浜市全体で「病後児保育室」は6つ。「ハグルーム」と同じように、ここも予約でいっぱいです。「病児保育」も「病後児保育」も全国どこでもまだ同じ状態です。「病気の時は、母親が家で看護すべき」という意識もまだ強いようですし、経営が赤字の所が多いのも、増えない一因です。
しかし、取材した皆さん、「知られていけば、認知度が高まれば、必要とする声も高まれば」と話していました。