 |
口で絵を描く古小路さんにインタビューする山口智子・情報キャスター |
ドイツに本部がある『世界身体障害者芸術協会』には、病気や事故で障害を負いながら、
口や足で絵を描く画家が所属しています。会員が描いた絵をカレンダーやポストカードにして販売して、その収益で会員の自立を支援しています。
会員は75カ国の約600人。日本人も26人います。そして日本各地で展覧会が開催されています。
取材したのは、東京・小平市の三菱ビルテクノサービスの施設で11月初旬に行われた絵画展。この日は19カ国、43人の作品が展示されていたのですが、まず、絵の繊細さに驚きました!そして、障害をもちながらも、こんな素敵な絵を描く画家が世界にたくさんいることにも驚きました会場には、毎年恒例になっているこの絵画展を楽しみにしているリピーターの方もたくさんいました。なんと、ここで知り合った画家の方と文通を続けています、という中学生の女の子もいました。
絵画展には毎回画家が来て、実演をしています。取材した日は、東京・大田区の古小路浩典さんが実際に口に筆をくわえ、お客さんの前で子供と犬が遊ぶ絵を描いていました。
古小路さんは現在41歳。中学3年生の時に体操部の活動中にあやまって頭から落ちて首から下がマヒしてしまいました。最初はリハビリとして絵を描いていたのですが、世界身体障害者芸術協会のことを知って、本格的に取り組むようになったそうです。
古小路さんは7年前に、岡山の実家を離れ、でヘルパーさんの介護を頼みながら一人暮らしをしています。なぜひとり暮らしを始めたのか?という質問に、古小路さんは「重度の障害者は家庭のなかで暮らすという固定観念がありますが、いろいろな人が携わって、
経済的な力もつけていけば社会の中でも生きていく事ができる」と話していました。そして、「障害を持ったからこういう道に進んだと思うと、人生面白い」とも話していました。
自分の道を見つけた古小路さんにとって、もはや「障害は障害ではなくなったんだな」と思いました。また、絵を描いているときの古小路さんの楽しそうな表情が印象的でした!
重い障害を持っていても、自分のやりたいように生きていく可能性は十分あるということを教えられた絵画展でした。