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コミュニティベーカリー 風のすみか |
大島洋子・情報キャスターが取材に訪れたのは、天然酵母を使い、無添加のパンが自慢という東京・三鷹市のパン屋。ジブリ美術館のそば、3階建てのビルの1階にあって、外までパンを焼く匂いが漂ってきます。小さな木の看板には、「コミュニティベーカリー 風のすみか」。「風のすみか」は、NPO法人「文化学習協同ネットワーク」が、「働く自信」を持てないでいる若者たちに、働く場を与え、地域に貢献しようとこの9月に開店したパン屋です。
ここでは30年前から、学校に行っている子供達の放課後の居場所作りや、10数年前からは「ひきこもり」や「不登校」の子供を支援する活動を行ってきました。「ひきこもり」や「不登校」だった子供たちが大きくなり、社会に出て働く年齢になったのですが、なかなか定着しなかったり、定着したいなと思うところを見つけることができなかったり。仕事のスピードについていけなかったり、対人関係がうまく作れないことが原因のようでした。そこで、「居場所」と「社会」の間の仕事場として、一歩踏み出すのを支援しようと開店したのが「風のすみか」です。
現在関わっているのは10代から20代の若者10人。子供のころ放課後に集まっていた大学生や、メンバーの母親、支援するスタッフも加わって、朝早くから忙しく働いています。お得なパンの定期セット650円のほか、取材した日はゴマチーズ、きなこのクリームチーズ、カレンズのベーグル、ナンカレーなど様々なパンが並び、取材後の大島キャスターは、買って帰るパンを選ぶのにかなり迷っていました。
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おいしそうなパンを前に迷う大島キャスター |
9月25日に開店してまだ1ヶ月少々ですが、ジブリの帰りにふらっと立ち寄るカップルもいますし、「パンのセット」は、地元の保育園やイベント、ひとり暮らしのお年寄りや、小さな子供を抱えて外に出にくいお母さんなどからけっこう注文があるそうです。
いまパンを焼いているのは、スタッフの1人、浅野由佳さん。浅野さんは、一緒に働く若者たちについて、「ここは働く場なんだよっていうか、ある程度責任持ってやってもらえる。一方で、まだまだっていうところは、もっとこうしたらいいんだよねっていう風に 次の目標を立ててあげないと、いけないって思うんです」と話します。 「できる」ことは任せるし、時には、「課題」や「目標」を与えて上げるのがスタッフの役目のようです。
若者たちの「目標」は様々。働く「体験」から始めている子もいるし、ある程度働いた経験のある子は、アルバイトとしてお金をもらうし、「スタッフ」になってパンを焼くことを目指す子もいます。その姿からは、地域の人においしいパンを食べてもらいたい、という気持ちが感じられました。こうやって少しずつ、自分が役に立っているという実感を持ち、自分のペースで働くことをつかんでいくのでしょう。
まだ開店したばかりですが、「このパン屋を起点に、それぞれの若者が、納得できる働き方や生きかたを実現できる場所を見つけていってほしい」と感じた大島キャスターでした。
「コミュニティベーカリー 風のすみか」は東京都三鷹市下連雀1−14−3、電話0422−49−0466です。