
今年5月に成立し、5年以内に実施される「裁判員制度」は、国民から選ばれた裁判員が,裁判官と一緒に、殺人,傷害致死など重大事件の刑事裁判に参加するという制度です。
裁判員は無作為に選ばれることになっているので、われわれも裁判員になる可能性があるんです。
実際、5年以内という事なのに、イマイチ身近に感じられないですよね。
そこで、この制度について知ってもらいたい、裁判自体にもなじんでもらいたいと東京第二弁護士会多摩支部が中心となって、9月22日、八王子市立第一小学校で、6年生による模擬裁判劇が行われました。
今回演じられたのは、元恋人を殺害したとして、サンタの格好でチラシ配りをしていた男が殺人罪に問われ、無罪を主張するというストーリーの「サンタクロース殺人事件」という裁判劇です。
当日は、2人の生徒が裁判員、4人の生徒が弁護側・検察側双方の証人を演じ、そして、残る裁判官、検察官、弁護人、被告人の役は、実際の弁護士が演じて、裁判を進行させました。
判決は台本には書かずに、最後に生徒全員が参加して、つまり裁判員のような気持ちになって、有罪か無罪かを判断します。
裁判といえば、裁判用語が難解で、私たち大人でも理解しにくい所がありますが、台本にある用語にはふりがなが振ってありますし、別冊で裁判用語をわかりやすく説明してあります。
登場人物も、仲居ヒロマサ、香取シン子など、どこかで聞いた、親しみやすい名前で興味を引くように作ってあります。
演じた生徒は、みんなやって良かった、身近になった、中には将来裁判関係の仕事に就いてみたい、と目を輝かせる子もいました。
第一小学校の森校長先生は、教えたり、ビデオを見せたりするよりも、やはり実際やってみることで実感することが大事だとおっしゃいます。
中心的に活動してきた東京第二弁護士会の井上寛弁護士は、日々の仕事の中で、まだまだ裁判が、実際の生活から遠い存在として扱われていることを痛切に感じているそうです。
今回、裁判員を演じた生徒の1人は、ただ、裁判とはどういうものか、理解できただけでなく、「自分の意見で被告人の運命が決まってしまう事になるので、裁判の重さを感じました」と話していたそうです。
当日は6年生の親御さん達も、この模擬裁判劇「サンタクロース殺人事件」を見学しました。
子供達だけでなく、周りの大人たちも色々考えてみるきっかけになったようですし、あらためて、裁判員制度、自分のものとして考えさせられました。