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デイサービスこだま |
いわゆる「古民家」がブームになっていますが、最近、「古民家」を利用した高齢者のデイサービス施設が各地に登場しています。
池田亜希子・情報キャスターが取材したのは、築190年の古民家を利用した、千葉県睦沢町の「デイサービスこだま」。大きな長屋門をくぐると、正面に赤い大きな瓦屋根の平屋建て。
ここを借りた理由について、NPO法人「こだま」の代表・近藤けい子さんは「お年寄りが経験してきた生活に、施設を近づけたい」と話します。例えば、新築の施設では水道の蛇口に手を近づけるだけで水が出てきます。確かに便利ですが、お年寄りはとまどってしまうことが多いそうです。
家の中はほとんど昔のまま。玄関から入ると天井は、梁がむき出し。土間に板を張った食堂の奥には、32畳のたたみの部屋があって、古い書や絵が書かれた襖や障子で仕切られています。神棚や仏壇もそのままですし、デイサービスの食事に使う食器もこの家に残されていた昔のものを使っています。改装したのは、デイサービスに必要なお風呂やトイレだけ。
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古民家の中で取材する池田キャスター |
利用する高齢者は朝9時半頃に来て、簡単な体操の後、1人ずつお風呂に入り、お昼とお茶をする他は、夕方まで自由に過ごします。安心するのか、畳の部屋で昼寝する方も。
また、もの忘れが激しくなっている方も多いのですが、積極的に何かを始めようとすることもあります。
ハーモニカ持ってきたり、自分の古い写真を持ってきたり。取材した日は季節の草花でも撮ろうと思っているのか?カメラを持って来て、広い庭を散歩する方もいました。お手玉をしたり、得意だった習字を披露する方もいるそうです。
近藤さんは「私たちは何もしないでも、家によって、もともと持っていた力が引き出されてくるんですね」と話していました。
他にも、群馬で、元養蚕農家が介護施設になったり、大阪では、都会の下町の古い長屋が利用されている例もあるそうです。「古いもの」の良さが介護サービスを通じて、見直されているようです。