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映写室からセリフ、場面説明のナレーションを行うボランティア |
視覚障害者が映画を見ようと思った場合、点字ブロックやエレベーターがあって、映画館の建物に入ることはできても、映画の内容や映画館の臨場感を楽しむことは難しいのが現状です。
「シティライツ」というボランティア団体は、視覚障害者にも映画館に足を運んで楽しんでもらおうと、月に2回ほどのペースで「バリアフリーの鑑賞会」を行っています。
どうやってスクリーンの様子を伝えるのか?ボランティアが、セリフと場面説明のナレーションを読み、FM電波を利用して、小型イヤホンを耳に付けた視覚障害者に届けます。元々の映画にはもちろん、俳優の表情や場面転換の説明はありませんから、ナレーションの部分は全てボランティアが作っているんです。
8月28日に新宿の映画館で行われた鑑賞会を訪れた方に鶴岡記者が聞いたところ、「場面転換のちょっとした説明があるだけで、映画の内容がずっとわかるようになる」「自分の趣味が映画になるとは思ってもいなかった」などという答えが返ってきました。また、描写の仕方、セリフの読み方などナレーションに対する要望の声も色々と出ていました。
「シティライツ」代表の平塚千穂子さんによりますと、「こういう活動に理解を示してくれる映画館や公共施設は3年前の設立時に比べかなり増えて」いて、鑑賞会も開きやすくなっているそうです。
このほかにも、聴覚障害者のためには、日本の映画でも字幕をつける試みがありますし、
板橋区の映画館ではスロープや車椅子スペースを用意して、身体障害者や高齢者も楽しめるようになっているそうです。
道路や建物、交通機関といった「物理的なバリアフリー」だけでなく、娯楽や文化活動を楽しめるようにする「バリアフリー」も徐々に進みつつあるようです。