国の誤った政策で隔離された「ハンセン病」の元患者達。その素顔を知ってもらおうと
日本映画学校の生徒達が卒業作品として手がけたのが「熊笹の遺言」です。
監督を勤めた今田哲史さんは、群馬県の栗生楽泉園に入所している3人の方達を「元患者」という特殊な存在ではなく、一人の人間として描いて、どこまで自分たちと共感できるのか探りたかったと話します。
撮影は実際に始まるまでが大変。2ヶ月以上、療養所のそばでテント暮らしをして、通い詰め、やっと心を開いて話してもらえるようになったそうです。その姿を療養所に茂る「熊笹」の力強さに重ね、タイトルは「熊笹の遺言」としました。
映画館を訪れた人たちに聴いたところ、共通しているのは「悲しい映画だと思っていたが、いい意味で期待を裏切られた」という感想。取材した鶴岡記者も「笑顔が印象的な映画」だと感じたそうです。
また登場人物の一人、浅井あいさんは文通をしていた少年が療養所を訪れたとき、こう言いました。「お父さんは来ていい、っていったの?」………ハンセン病の隔離と差別の歴史の重みが感じられます。
いまは外に開かれた療養所。映画を見た若者の中からは入所者の方と交流を試みるグループも生まれているようです。
「熊笹の遺言」の上映に興味を持った方は「CINEMA塾」03− 5360−1668まで。