「自立援助ホーム」という民間の施設があります。家庭崩壊や虐待などで、親に育てられず養護施設などで育った子供達が、15歳になって施設を出た後(高校に進学すれば別ですが)、共同で生活して働きながらお金をため、一人暮らし=自立を目指す施設です。
山崎景子・情報キャスターが取材した栃木県宇都宮市の自立援助ホーム「星の家」では、16歳から19歳までの男女6人が生活しています。ホーム長の星俊彦さんの話では、「施設などで育った子は、人間関係がうまくいかない」といった、見えないハンディキャップを背負っている場合が多いそうです。だから急に一人で社会に出ても、仕事が続かなかったり、お金を遊びに使ってしまったり、引きこもってしまったり。
星さんはそういう子供達と「あせらず、じっくりとつきあい」、信頼感を育て、自尊心を取り戻すことを助けてゆきます。平均1年ぐらいでアパートでの一人暮らしをすることを目指しているんですが、取材の時も「早く一人暮らしをしたい」と訴えるある女の子には「金銭感覚がまだできていないから」という理由で、「とりあえずいまできることをやってごらん」とやんわりと納得させていました。
こういう自立援助ホームは全国に20数カ所。6年前に国から補助金が出るようになりましたが、金額は十分とはいえず、大変な仕事でもあることから、ホームがない県も多いのです。
虐待された子供や事件を起こした子供達が、「保護されて、施設に入るまで」は関心が高まっていますが、施設を「出た後」には、あまり関心が持たれていないのが現状。「自立援助ホーム」の必要性にもっと「社会の目」が向いてほしいものです。