火曜ドラマ『カルテット』

インタビュー

第2回

前回も伺いましたが、あらためて“台本を読んだ感想”をお聞かせください

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高橋一生さん(以下、高橋):(満島)ひかりちゃんとも話したんですけれど、坂元さんの台本は何度かやらせていただいているんですが、またそれとも違う雰囲気を受けました。普通の会話のようなところもありながら、ストーリーから脱線しているようで実は伏線…というつくりがとても面白い台本だなと思いました。

松たか子さん(以下、松):すごく面白かったです。長いシーンがあったり演奏があったり盛り沢山ですが、テレビドラマでしかできないことが詰まっているような気がします。

満島ひかりさん(以下、満島):坂元さんの台本って、すっごく不思議で。最初読んだときには、「えー?なんでこうなるの?嘘みたい」とか、「そんなことあ~りません」(笑)みたいなことがあるのに、結局終わった後に台本を読み返してみると、“あ、書かれたとおりになっていた”…ということが多い。
今回の台本は、なんか大人っぽいです。言葉にウソが少なく、軽みが出ちゃうのがいいですね。

松田龍平さん(以下、松田):1話では“からあげにレモンをかけるかかけないか”という話をして、なんでもない話かと思いきや、それがちゃんとストーリーに組み込まれていて、そんな些細なことで人生が変わってしまうかもしれないというエピソードが面白いなと思ったし、そういう話がこれからも続いていくだろうなと。

演じる上で気をつけている点はありますか?

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高橋:あまり役を固定しないようにはしています。この人はこういう人間だという、いわゆる“役”をつくっていくみたいなことを、いつもより取っ払ってやっているような気がしています。

松:“声が小さい人”という設定なので、それをどこかで忘れないようにしています。油断するとすぐ普通になっちゃうので、声の小さい人をここまで意識してやるのは初めてです。

満島:ダラダラしすぎちゃうこと。気をつけようとはしていますが、やりすぎているときは、監督に注意してもらい直しています(笑)。

一同:(笑)

松田:気をつけている点は……楽しくやりたいなって。4人の話だし、そういう意味では会話劇で、ひとりひとりの温度が大事だと思うし、楽しい雰囲気が画面に映ったらいいなと思っています。

弦楽奏者という設定ですが、演奏してみて心境の変化や4人の繋がりに変化はありますか?
また、難しい部分は?

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高橋:ひとりで演奏の練習をしているときとは根本的に違うんだなと。カルテットで演奏する=息を合わせる。単純に言ってしまえばそうなんですけれど、そこの呼吸の合わせ具合は人それぞれなので、「せいのっ!」と言っても、色んな「せいの」があるので、そこの感覚はお芝居をしていくことによってまた変わっていくのではないかと思います。そういう期待もありつつ、難しいなとも思いつつ、楽しんでいます。

松:いろいろ、全てが難しいです。ヴァイオリンを弾いている人がそれを実感する一番いい音を聴いていると思うんですね。音の響くところに自分が一番近くにいるので。でもそれを実感する余裕もなくて。でも、大変さの中で、何かをやるっていうことは、違った面白さがあるんですよね。だから私にとっての不自由さが、ストーリーを転がしていく力になればいいなって。伝えようとしたり、たまに諦めたりしながらやっていて、悪くはない疲れを感じています(笑)

満島:私、右利きなんですが、左手…左脳をすごく使うので、ズドーンとした普段の疲れはなく、どこかに逃がされている感じがあります。私は協調性をもつことががんばらないと苦手なんですけど(笑)、このお三方といるとすごく楽しいです。それから、現場に音楽が流れているのが、すごくいいなと。もしかしたら、共演者のみなさんも、スタッフのみなさんも、普段とは違う感じなんじゃないかな? 騒音のときもあるけど(笑)、音楽が流れていると音の世界に浸れるし、みんなで違う景色を一瞬見るような気持ちになるときがあって、気持ちいいなって感じることがあります。

松田:4人でカルテットなので、息を合わせなきゃいけない。ひとりで弾くわけじゃないから、そこの面白さはあると思う。あとは芝居と芝居の合間に少し調弦して、その調弦した流れで芝居に入っていくことが結構あって、ある意味奏者のリアルな感じ?日常みたいなものが垣間見られるドラマになるんじゃないかと思うと楽しみだし、そこのリアリティが難しいなと感じながらやっていますね。

視聴者のみなさんにメッセージをお願いします

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高橋:一度肩の力を抜いて、テレビの前で、僕らのいる別荘とか軽井沢とかを、みなさんが居る場所と地続きになっているつもりで見ていただければ、と。別荘をベランダから覗いている感覚で見ていただけたら、盗み見している感じの面白さや、この人たち滑稽だ、なんて面白さが垣間見られるようなドラマのつくりになっているはずなので、「新しいドラマがはじまる!」と構えずに、ボーッと見ていただけると嬉しいです。

松:色んな人から「坂元裕二さん脚本のドラマが好き!」と言われるのですが、この作品も、登場人物たちは魅力的でどこか欠けているけれど愛すべき人たちばかり。一生懸命で不自然で、かっこ悪いところも全部含まれているお話なので、私たちもそれを取り繕えないままやっていくと思います。最初はドラマを見るぞ!という気持ちで見始めても、見終わったときに、チクっとする痛みというか、心の中で何か引っかかるというか…大人のドラマとして届けばいいなと思っています。

満島:この4人で過ごしている時間がまぼろしに見えたらいいな。みんなが好きなものを持ち寄って、ちょっぴり見せ合ったり、ちょっと味見しあったり、そんな感じでスタッフさんも含めて撮影をしているので、みなさんの反応が楽しみです。 はっきりしない人たちがはっきりしないことを話しているうちになにかがはっきりしてくる、分かりやすさはないかもしれないけど、気分が良くなるかもしれないドラマです(笑)。

松田:はじめて別荘のセットに入ったとき、感動して。暖炉があるような、とても素敵な別荘で、4人の奏者が弦楽四重奏をやりながら美味しいご飯を食べて(笑)。 先ほど満島さんが、“まぼろし”と言っていましたが、まさに、まぼろしみたいな生活をしています。軽井沢の何とも言えないエキゾチックな雰囲気と、軽井沢の風と音楽と大人の恋愛模様が、気持ちいい形で融合して素敵なドラマになればと思っています。ぜひご覧ください。

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