ドクター月尾 地球の方程式」は、放送を終了しました。
多くの皆様にご視聴いただき、有難うございました。
出演:月尾嘉男(東京大学名誉教授)
黒木奈々
東大名誉教授、元総務省審議官、ITの伝道師そしてケープホナーと様々な経歴・肩書きを持つ知の巨人・月尾嘉男さんが、現代を賢く生きるための文明論をわかりやすく語ります。
ドクター月尾・地球の方程式
#298週「月尾嘉男が社会に発する5つの提言」
(10年12/20〜12/24放送)
12月20日 「日本の画一と多様」
明治以来、日本はすさまじい勢いで発展してきましたが、
その発展したキーワードとして「画一」が挙げられます。
明治政府は中央集権国家を作り、
政治制度や言葉などを一つにしてきました。
これにより部分的にアメリカを抜くほどの
経済大国となりましたが、
最近になって陰りが見え始めてきました。
その原因の一つとして情報社会が挙げられます。
情報社会は相互間の情報が違うことにより
価値が生まれるものであり、
画一では意味のないものになってしまいます。
種類の少ない民族や言語で構成された日本は、
世界の情勢が急に変化すると
画一の社会のため対応ができなく、
日本はいつの間にか取り残されている状態です。
これからの日本は是非「多様」という言葉に注目するべきなのです。
12月21日 「魅力の本質」
1980年代、アメリカを中心に
魅力は社会の本質だという意見が出ました。
この背景は、アメリカとソビエト連邦が対立して
社会を維持してきましたが、
ソビエト連邦の崩壊によって
それまで維持されてきたものが終わるという予感が
1980年代にあったので、
次の時代はどうするかという考え方を
アメリカが持ち始めました。
世界を長いスパンで見てみると、
昔は軍事力を持っていることこそが魅力であり、
また、国威発揚のためには圧倒的に重要でしたが、
それが次第に経済へと変わり、
これからは文化の力になるということを説いた
アルビン・トフラーという学者がいました。
では、文化の本質は何かという時に、
この「魅力」というキーワードが浮かび上がってきました。
では、果たして日本には人々を惹きつける魅力は
あるのでしょうか。



これらの図を見ると分かる通り、
まさにヒト・モノ・カネのすべてにおいて
魅力に欠けているといえます。
これを克服するためには、
まず自ら情報を発信する必要があるのです。
12月22日 「日本の固有」
2010年8月、国際的な調査により、
日本近海には15万種の海洋生物が生息し、
これは有数のホットスポットだということが分かりました。
実はあまり知られていないことですが、
日本は他国に比べて固有種が多いことでも有名で、
同じ島国であまり面積も変わらないイギリスと
比較するとその差は歴然です。
しかし、これが今非常に危機に直面しています。
まず一つの原因は、外来種による駆逐。
もう一つは環境の劇的な変化による
絶滅危惧種の増加です。
この固有種。
動植物だけではなく、人間の世界でも
同じようなことが起きているのではないかということがいわれています。
日本は元々固有の食文化を持っていて、
少ない食事で多くの栄養分を摂取することができ、
世界的に日本の食文化は注目されていました。
これからは日本の魅力を再び発信するためにも
日本が元々持つ固有性を復活させる必要がありそうです。
12月23日 「地域復権の力」
明治維新と平成維新の
大きな違いは分かるでしょうか。
それは立ち上がる力です。
明治維新は薩長土肥という言葉があるように、
当時の江戸から見ると辺境の土地にあった
場所から立ち上がったといえます。
また、明治の偉人も辺境の土地出身者が
多いのも特徴的です。
しかし、現在では地方主権を訴える人は、
中央にいる人たちばかりが声をあげていて、
さらに言えば、そういった人たちは
2世や3世であるということが往々にあります。
つまり、本当の民の声が反映されているかというと
そこに疑問が生まれてしまう状況になっています。
なぜこういった状況になってしまったかというと
原因は地域の人々にあるかもしれません。
地域に住む人々は自分たちの地域に
秘められた力に気づいていないことがあります。
しかし、地域には多様性も魅力も固有もあり、
中央にはないような力が実はあるのです。
だからこそ、地方から声をあげ、
新しい経済を作るという力を示してほしいと思います。
12月24日 「日本人よ覇気を出せ」
「坂の上の雲」が非常にブームですが、
明治時代には憧れた西洋という
峠の上に浮かんだ雲に
国民が一致団結して目指していっていましたが、
1980年代に日本は経済的にも豊かな国になり、
目指すべき雲が無くなってしまいました。
そして、それが現在までも続いて
未だに誰もその雲があることを教えてくれないことが
日本人の覇気がなくなった理由だといえます。
それは地方に顕著に現れていて、
非常に疲弊しきっている地方は
「政府がなんとかしてくれ」という言葉が多く、
自分たちで変えていこうという覇気がないのです。
これは日本が頂点に達した時から
転落が始まったと言えますが、
もう一度そこから立ち上がるためには
1人1人が一体何を目指していけばいいのかを考え、
実行に移さなければいけないのではないのでしょうか。
6年間という長い間、
日本や世界のさまざまな話題を
従来とは異なる点からお伝えしてきましたが、
残念ながらこの回をもって
「ドクター月尾 地球の方程式」は終わりとなります。
今までご支援頂きありがとうございました。