インタビュー

[第三回]濱田達哉役/ムロツヨシさん

— この企画の話を聞いて

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原作がある作品ですので、原作を先に読ませていただきました。医療ドラマもいくつか拝見したことがありますが、今までの作品とちょっと角度が違う作品だなと思いました。 このドラマは”死生観”がテーマだと思います。伊藤英明さん演じる松本は、生きることを考える救命です。もちろん僕が演じる濱田も心臓血管外科医で、同じく救うところですが、その中にも”救えない”話もあったりして、それに対して自分に無力さを感じたり、医療に対しても無力を感じたり、それでも前を向いて次の目の前にある命を救わなければいけない。そういったところが他の医療ドラマとは少し角度が違う作品だなと思いました。
伊藤さん演じる主人公・松本は医者であり、お坊さんでもあるので、お医者さんだけじゃない考え方も備わっていて、また、彼自身のバックグラウンドにある経験が、すごく作品に厚みを持たせているなという印象でした。
自分のことを言うと、まさか自分が人生で天才心臓外科医役を演じると思っていなかったので、そこに関しては違和感はずっとあります(笑)。「なぜ TBS さんはこんな無茶をするのだろう」と。「『金曜ドラマ 大恋愛(2018)』の頃から、何のチャレンジをしているのだろう」と思うんですけれど(笑)、でも、そういう一面も見てみたいと思ってもらえてるんだろうなと、ありがたい話だと思います。

— 共演者の印象

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個人的に言うと、僕は伊藤英明さんという人物をずっと観ている側でした。まさか同い年とも思っていなかったですし、 今回一緒にできるのは、すごくやりがいがあるなと思っています。そこに中谷美紀さんも加わり、全員まさかの同い年…これは本当にやりがいがありますよね。
まだ1日しかお二人と一緒に撮影してないんですけど、英明さんは「こうやったらいいかな?」とか、いろいろ聞いてくれるんです。頼りにしてくれるんだなと思って嬉しくて。後輩に聞かれることがあっても、同い年、ましてや主演の方に聞かれるということは、なかったので、いい雰囲気だなと思います。
中谷さんもしっかりと自分の意見を持っていらっしゃる方で、いろいろ提案してくださいますし、チーム感が既に出来ています。
(対立する間柄なので)本当はあまり仲良くなっちゃいけないんですけどね(笑)。クランクインしてすぐ、英明さんからグランドコートをいただいたんです。ドラゴンボールのもので、僕はベジータ。英明さんは悟空。初日からそれを着て撮影していました。仲良くなっちゃいけないなと思いながら、英明さんがどんどん来てくれて、どんどん仲良くなってしまうっていう(笑)。他の方とはまだお会いしてないんですけど、濱田の部下・児嶋を演じる松本穂香さんとは初めてご一緒するので、楽しみで仕方ないです。

— 役作り

キャラクターの役作りというのはあまりしてないんです。いつもフラットな状態で作品に入っています。台本にもまだ描かれてないですが、濱田は理由があって救命の松本と対立している。なんでこういう風にしているかということだけは、しっかり頭の中に残しながらやらなければとは思っています。とはいえ、人柄はこれから構築して行こうかなと思っていて、今回、一番大事なのはやはり所作。監修してくださっている心臓外科医の先生とお話させていただいて、練習しているところです。今回演じるにあたっては、医療用語言葉もそうですが、外科医としての所作が大事だと思っています。

— 濱田達哉という人物

彼は、褒められたい好かれたいというのを前面に出していてますが、その彼がなぜ人を救いたいかというところは、台本でまだ書かれてないので僕も分からないんですけど、先ほどもお話したように、そこには必ず理由があるはずです。彼は”天才外科医”と呼ばれるほどに、実際に技術もきちんと得ていますしね。
彼は、良い意味でも、悪い意味でも裏がある。そこは大事にしたいなと思っています。

— 小説家に続いて、役に対しての挑戦

お芝居に対する考え方の話にはなりますが、表立って肩書きだとか職業とかで何か変えてやろうということはないです。現場で見つけたことや台本を読んで思いついたことをしっかりやれればと思っています。例えば以前、『大恋愛』でやった役とは違うことをしようとは絶対に思わないようにしています。同じようでもいいし、違うようでもいい。似通ってもいい。作品が違えば人も違うので「違わなければ」と、そういう考え方だけは削ろうとしています。とにかくフラットに。だから「役作りをしない」という言い方をいつもさせていただいています。変な言い方ですけど、台本にあることを話せば一つの役は成立しているであろうと、台本を信じれば一つの役は成立しているということです。あとは会話。それは、どのドラマにおいても、相手との会話が成立していれば、上手くいっていると思っています

— 伝えたいこと

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視聴者の皆さんに「こういうことを感じてもらいたい」ということではないんですけど、救う側と救われる側…どうしてもうまくいかないこともある。救うことを物語にしたほうがいい話になるのはそうですが、今回のこの作品では、救えないことで葛藤する人間の姿を見せていこうと思っています。そして、救えなかった経験があるからこそ、新しい救い方を考えたり、思いついたり、想いを持ったり…そういう医師たちの姿を見ていただきたいかなと思っています。
深いですよね…この作品は。だからこそ、気楽に観れるシーンも増やしたいなと思っているんですよ(笑)。なんせ私は天才外科医ですから!

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