あらすじ:
世直し旅から水戸へ戻り、晴耕雨読の毎日だった、黄門様(佐野浅夫)は、ある日将軍様(長谷川哲夫)を江戸城に訪ねた。
家康公に関わる用件で出向いたという黄門様の言葉に、何事かと身構える将軍様と老中たちだった。
その頃、家康公が東海道五十三次を制定しておよそ百年が過ぎていた。東海道のおかげで人々の旅は楽になり、暮らしも豊かになった。しかし、あちらこちらにほころびができていると、黄門様。実地に歩いてそのほころびを直したいと語る。
将軍様の賛同も得て、黄門様一行は、東海道の日本橋から旅立つことになった。
黄門様は、助さん(あおい輝彦)、格さん(伊吹吾郎)と共に江戸を後にする。八兵衛(高橋元太郎)、お銀(由美かおる)と飛猿(野村将希)も三人の後を追う。
さて、愛宕山にさしかかった黄門様は、矢島弦之丞(島英臣)が何者かに殺されるところに行き当たった。弦之丞は、由紀に江戸屋敷へ行ってはならぬと伝えてくれ、と言い残して息を引き取った。
弦之丞は月夜野藩の侍で、江戸詰めの家老、鍬形外記(大門正明)の悪事を暴いた書状を持って国元へ向かう途中だった。
一方、格さんと飛猿が侍たちから救った女が由紀で、由紀は弦之丞の妻だということが分かる。由紀の父でもある、江戸家老の丹沢播磨(本郷功次郎)は、鍬形一味に監禁されていた。一味が懸命に探す書状は、弦之丞が命に換えて守っていた事がわかる。
黄門さま(佐野浅夫)一行は酒匂川に着いた。この川は橋がなく不便なため、黄門さまは助さん(あおい輝彦)、格さん(伊吹吾郎)、八兵衛(高橋元太郎)とはぐれてしまい、先達のお京(濱田万葉)率いる旅の一行に紛れ込んでしまった。
お金を持たない黄門さまは、お京の手伝いをしながら、小田原城などを案内して歩く。新米先達の歌助(桂歌助)は、黄門さまの見事な口上に感心して、弟子入りしたいと頼み込む。
さて、一行が泊まった旅籠に小雪(岡本伊代)という少女がお京を訪ねてきた。小雪は父、篠田平八郎(土門廣)と祖母、菊江(原知佐子)の三人暮らし。母親がいない小雪は依前奉公していたお京を慕っている。お京は平八郎に想いを寄せていた。平八郎もお京を後添いにしたいと願っていたが、頑固な菊江だけが猛反対。
ところで、平八郎は近々藩の剣術指南役の座をかけて御前試合を行うことになっていた。相手は家老大垣金太夫(森章二)の三男、源之進(森岡弘一郎)だ。大垣は源之進に勝ちを譲るよう平八郎を脅す。
源之進がそれに屈しなかったため大垣一味は、小雪を誘拐する。小雪の身が危ないことを知ったお京は、危険をかえりみず救出しようとするのだった。そして平八郎とお京の恋の行方は…。
黄門さま(佐野浅夫)一行は箱根に着いた。一行は街道で吾平(長門裕之)という荷物持ちの人足と出合う。吾平は途中茶屋に寄り、一行に菓子をすすめる。八兵衛(高橋元太郎)も舌鼓を打ち満足そうだ。
素朴で愛嬌のある吾平と黄門さまは意気投合し、一行は吾平の案内で温泉宿に宿泊することになった。黄門さまと助さん(あおい輝彦)、格さん(伊吹吾郎)は温泉で旅の疲れを癒す。
ところで、箱根では「入り鉄砲に出女」といって、厳しく人の出入りを調べる関所がある。女にはことのほか厳しい。お銀(由美かおる)は役目を笠に着て金をせびる改め女を懲らしめた。
さて、黄門さまは宿の女から吾平について悲しい身の上話を聞かされる。吾平は若い頃は力自慢の槍持ちで、大名行列の槍を持って運ぶ、人々の憧れの的だった。息子の吾市(朝日完記)が父の跡を継ぎ、槍持ちになったまではよかったが、一年前に事件が起きた。
吾市は、井伊家の大槍を持つことになったと、得意そうに話していたという。井伊家は大名家の中でも特に槍が自慢で、大槍は簡単に持てるものではなかった。その上、箱根は風が変わりやすく、大槍を持つことは大変な仕事だ。吾平の心配をよそに、吾市は女房のおとく(千野弘美)と子どもたちにも晴れ姿を見せたいと張り切っていた。 だが、吾平の予感が的中し、槍は風にあおられた。吾市は家族の見ている前で供頭の大河原軍十郎(中田博久)に手打ちにされたのだった。
それから、一年。また、井伊家の行列が箱根を通る季節になった。吾平が毎日のように行列の予定を確かめに来るので、宿場の人々は吾平が敵討ちをするのではないかと、噂をしていた。敵討ちで有名な、曽我兄弟の墓に手をあわせる吾平の後ろ姿を、黄門さまも心配そうに眺めるのだった。
ついに井伊家の行列がやって来た。飛猿(野村将希)の調べで、行列に大河原も加わっていることが分かる。黄門さまは吾平に早まったことをしないように諭すのだが、吾平は大河原に斬りかかるのではなく、自分は槍に体当たりして大河原に斬られるつもりだと打ち明ける。そうなれば、殿様も大河原の自分の無念に気付くだろうと、吾平。それならば、自分も一緒に行くと、黄門さま。
やがて、箱根の山に井伊家の行列が現れるのだったが…。
東海道は駿河国・江尻宿。興津鯛を馳走すると、御老公一行が案内された船小屋。
その船小屋が焼き討ちの急襲に遭う。危機一髪!豪快な剣さばきで、一行を助けたのは山根喬之助(加山雄三)と名乗る浪人者。
「襲ったのは誰か?」・・・探索する見返りに金を要求する山根・・・格は胡散臭い男と警戒するが、助は意気投合する。宿場で連日呑み明かす山根と助。
そこで出会った若い同心に、山根は駿府城の絵図面持ち出しを依頼する。「山根の狙いは?」・・・疑問を抱く助。
江戸で飛猿が嗅ぎつけた新たな事実・・・現駿府城代・小出帯刀(大出俊)には江戸勤め時代、愛人が居た・・・愛人は小出家の奉公人で、小出との関係が因で命を失ったという。しかもそれがお銀と瓜二つの上、実は山根の妹だったのだ。
さっそく御老公は真偽を確かめるべく、身分を明かし、駿府城に乗り込む。
お銀を見て、亡霊と怯える小出。
山根の狙いは駿府城に眠る神君家康公の隠し金。それを奪うことによって、小出を引責失脚させ妹の仇を討とうというのである。助は、謀略に御老公を一枚噛ませようとする山根の人質であった。天下を畏れぬ大罪・・・抜き差しならぬ状況に嵌った助・・・。
命の恩人・山根の謀略の全容を知り、懊悩する御老公・・・。
解き明かされる「小出と愛人の真実」。迫り来る「小出の城代失脚を目論む複数の影」。緊張の中、刻々と時は過ぎ、いよいよ助と山根が駿府城に乗り込む夜がきた。
果たして、神君家康公の隠し金は本当にあるのか!?謎が、陰謀が、怨念が・・・そして愛が交錯する!
徳川ゆかりの地で、御老公の英知が冴え渡る!!
黄門さま(佐野浅夫)一行は島田へ。だが大井川が増水し、先へ渡ることができない。一行は病気の母親を見舞うため、川止めが開けるのを待っている、少年、松吉(小谷幸弘)と知り合った。松吉は奉公先で、母の病を知り、駆け付けるところだった。
川止めはもう十日も続いており、無理をして渡ろうとした女や子どもには、命を落とす者も多いと知り、黄門さまは心を痛めていた。
実は、大旅籠駿州屋の主人、茂平(頭師孝雄)が自分の儲けを増やすもくろみで、次席代官の黒川軍兵衛(亀岡征一郎)と結託して、川止めを長引かせていたのだ。
川渡しの人足を束ねるマムシの兵六(へいろく・樋浦勉)は自分たちの仕事の妨げになる川止めを快く思っていなかった。兵六は、茂平の企みに感付いており、駿州屋に怒鳴り込むのだが、役人が後ろに着いているため軽くいなされてしまう。
さて、黄門さまは松吉と共に、熊造(三木敏彦)の手配で法を破って川を越えた。
だが、松吉の母、妙(服部妙子)は意外にも松吉に会おうともせず追い返す。奉公人はむやみに帰ってくるものではないと、妙は松吉をとがめる。母の厳しさに胸を打たれる黄門さまだった。
そして、黄門さまと松吉は川を渡り戻る途中、役人に見つかってしまう。悪をただすため、自ら縄を受け、陣屋の白州に座る黄門さまだったが…。