2011年12月23日(金・祝)よる9時放送

作品のみどころ

その1 『兄弟共演』

(写真) 実の兄弟である渡哲也×渡瀬恒彦の過去の共演歴を辿ってみると、それは1971年にまで遡る。『あまくちからくち』というNHKの連続ドラマで初共演を果たした2人だったが、渡は当時の思い出を振り返り、「私もけっして上手い役者ではありませんでしたが、恒彦が私以上に芝居下手だったので、その心配ばかりしながら撮影に臨んでいました」とコメント。一方の渡瀬は、「内容を考える余裕すらなくて、ただ書いてある言葉を喋っていた。それだけ舞い上がってしまっていたのかも」と答えている。
時を経て、今回この作品で2度目の兄弟共演が実現した背景には、小椋プロデューサーの熱意とオファーのタイミングが大きく関係していたという。「この『帰郷』という作品のお話を10年ほど前にいただいていたのなら、まだ兄弟共演に対する照れくささも残っており、たぶん私はお断りしていたでしょう。しかし、自分の年齢を考えてみても枯れつつあるので、40年ぶりに出来るものならやりたいなと思ってお引き受けしました(渡)」 「我々の持っている時間がそろそろないものですから、まだオファーがあるうちにやっておかないと…という気持ちもありましたし、登場人物をチャーミングに描くことに定評がある小椋プロデューサーから持ち込まれた企画に魅力を感じたこと、そして現在の兄が社長業を降りて俳優業に専念できる環境にあり、わりあいフリーランスに仕事を選べるようになったことも大きかったと思います(渡瀬)」。

(写真) 先日、千葉県・市川市行徳(ぎょうとく)で行われた制作発表では、記者から改めて『互いの俳優としての印象』を問われ、「身内なので非常に申し上げにくいのですが、弟は私をはるかにこえた俳優になったなと。野球のピッチャーに例えるのなら、私はボール気味のストレートしか投げられないのですが、弟の場合はフォークだとかスライダーだとかカーブなども投げられるような上手い役者になった」と、渡瀬に惜しみない賛辞を送った渡。それを受けた渡瀬もまた、「(兄は)相変わらず直球しか投げられない人だなと感じました。でも、僕は直球のスピードが出ないので、なんとか交わしながらでも…とセコいことを考えながらやっているだけなんです」とユーモアを交えて渡を絶賛。2人の強い絆を感じられる会見となった。
ドラマの中では“疎遠になってしまっている医師兄弟”を演じるが、これまで「衝突したことや兄弟喧嘩をした覚えはない」と口を揃え、クランクイン直前には電話で芝居の相談をし合ったというエピソードを持つ仲のよい2人。そんな渡と渡瀬が本気の芝居でぶつかり合う兄弟喧嘩のシーンの撮影に立ち会った小椋プロデューサーは、「お2人の激しいやりとりは、私が想像していた以上の、口では言い表せないほどの熱演でした。本当に迫力あるシーンに仕上がっています」と興奮気味にコメントを残している。
これで見納めとなるかもしれない“奇跡の兄弟共演”は必見!

その2 『豪華キャスト勢』

(写真) 「これだけの俳優さんが演じてくださっているのですから、手抜きは一切ありません。登場する人物それぞれに“ドラマ”があります。視聴者のみなさんのご期待に、十分添える仕上がりとなっているかと思います」と話すのは、小椋プロデューサー。台本に目を通した限りでも、渡哲也×渡瀬恒彦のほか富司純子、古手川祐子、徳重豊、内田有紀、寺田農、大竹しのぶ、柄本明…といったビッグネームがずらりと名を連ねるこの作品。意外にも“初の顔合わせ”となる出演者同士も多かったようだが、撮影現場では空き時間にあちこちで談笑が繰り広げられていたとか。

(写真) 「共演者の出演シーンが非常に気になる」という声があちこちから聞こえてくるのも、豪華キャストが集結したこの作品ならでは。「ご兄弟(渡と渡瀬)が同じ画面にいるのを想像しただけで、オンエアが本当に楽しみ(柄本・徳重)」であるのはもちろんのこと、渡×富司×大竹などといった、これまでにない、この作品でしか目にすることの出来ないであろう豪華な俳優同士のコラボレーションにも注目したい。

その3 『神輿の本場・行徳』

(写真) 作品の舞台となっているのは、千葉県・市川市行徳(ぎょうとく)。この街は、江戸時代に徳川幕府の直轄地として栄え、江戸への物資の積み出し所として、また成田山参詣の経路として大いに賑わっていた歴史を持つ。今も、当時の面影を残す建物が残るこの街には、かつて「行徳千軒、寺百軒」といわれたほど多くの寺が存在しており、昔から腕利きの仏師や宮大工が多く住んでいて、神輿づくりが盛んなことでも有名だ。そんな“神輿の本場”としても広く知られる行徳を作品の舞台に選んだのは、脚本家・久松真一氏。実は、久松氏自身が行徳の出身であり、「いつか行徳を舞台にドラマを書きたい」と長年構想を温め続けていたところ、今回実現したのだとか。劇中には、“行徳のアイデンティティー”ともいえる神輿やお囃子が登場し、作品を賑やかに彩っている。

(写真) 立派な神輿が多くの人の手によって担がれてゆく『初詣のシーン』の撮影に参加した渡は、「感動しました!みんなが掛け声を掛け合って、重たい神輿が乱れることなくぐるぐると回されてゆく…最後のカットが決まったときは、事前に打ち合わせをしていたわけではないのですが、興奮のあまり思わず柄本さんと手を叩いてしまいました」と感想を述べている。
ちなみに、記者会見の会場に飾られていた神輿(※写真を参照)は、一尺八寸(約54.5cm)大の唐破風型の塗り神輿で、行徳に実在する神輿製作所『中台神輿』が制作したもの。その値段は、このサイズでも約3〜4千万円というから驚きだ。行徳の人々の多大なる協力を得て完成したシーンの数々にも、ぜひ注目してみてほしい。

その4 『大分県・国東(くにさき)半島でのロケシーン』

(写真) 渡瀬恒彦演じる神尾真次郎は、妻と娘を亡くした後に故郷を離れ、大分県・国東(くにさき)半島の診療所で働いているという設定。そのため、渡瀬と撮影スタッフは、11月中旬にタイトなスケジュールを縫って大分へと飛んだ。
国東半島といえば、大分県の北部に位置し、海と山の両方に恵まれた場所で、かつては仏教文化や海運文化など高度な文明が栄えたことでも知られる。

(写真) 自然が溢れるよき場所で撮影に臨んだ渡瀬は、そのハードスケジュールを回顧し「ずっとこき使われていました」と苦笑するも、ロケ地を転々としながら口にした食べ物が印象に残っているといい、「現地で炊き出しをしていただいた色んな食べ物が美味しかったです。特に、あちらでは銀太刀(ギンタチ)と呼ぶらしいのですが、名産物のひとつでもある太刀魚(タチウオ)がとっても美味かった」とのこと。
渡瀬の背景に広がる、国東半島の心癒される風景にも、ぜひ目を向けてみてはいかがだろうか。