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第七〇七回('18年8月5日 放送)
「白熱『総裁選』〜『安倍3選』の裏」

ゲスト: 武村正義 氏/片山善博 氏

御厨

「東京医大の女子学生の入試一律減点問題。これは女性のお医者さんは子供を産んだりして辞める率が高いから、大学の系列病院のお医者さん維持のためだというのが理屈になっていますが。片山さんどうですか、この理屈」

片山

「その理屈は通らないですね。そういう実態があるとすれば、それを直すというのが本来のやり方ですよね。女性で子育てをしている、そういう人もちゃんと勤務できるような。それは男性にとっても女性にとっても無理のない勤務ができるような、そういう職場環境を作るっていうのが理事者たちの務めですよね。そこをさぼっておいて、だから女性は辞めるから、そもそも最初から減点するんだなんていうのは、理屈にも何にもならないですね」

御厨

「いま片山さんこうおっしゃいましたけど、武村さんいかがですか」

武村

「私はたまたま家内が歯科医なんですけど、朝から晩までずっと働いてますから、家事の面では相当影響がありますね。だから、お手伝いさん頼むとか色んなカバーをしてやってきたわけで。一般的なルールとしては全く不公平で、男女で差別があるなんてことは許されない。後はどうカバーするか、育児とか出産とかですね。確かにそういうことがありますから、そういう時をどうカバーしていくかってことが一番ポイントですね」

御厨

「そんなことを知らずに受験した女子学生の気持ちを思うと、片山さんどうですか」

片山

「本当に無念ですし、悔しいと思いますよね。どうやってこれを償ってもらえるのか。よく不正があった時に、不正とか採点にミスがあった時に去年落ちた人も入学できますよみたいな手続きやることあるじゃないですか。それが出来るのかどうかとかですね。色んな問題をはらんでいると思います。だからこんなこと絶対にやっちゃいけないんです。どれほど心を傷つけられるか、本人にとって」

御厨

「武村さんいかがですか」

武村

「全くその通りですね。だから、問題は東京医大だけの問題なのか、あっちこっちでこういうルールが広がっているのか気になりますね」

御厨

「私も大学で教えて、日本はですね、入試、筆記試験っていうのは公正であるということを誇りにしてきたと思うんですね。それがまた今の日本を支えてきたと思うわけですけども、片山さんどうですかね」

片山

「おっしゃる通りで、入試っていうのはとっても大学としては気を使う分野ですよね。問題を作る先生たちも本当に誰がやっているのか分からないようにすることすら気を付けながら、厳正に問題を作って、採点もきちっと。私なんかも採点やってましたけど、きちっとやるんですけどね。そこまでやっといて、でも結果については一律女性だからっていうそれだけの理由で減点しますなんていうのは、もってのほかですよね。何を考えているのか。これに携わった人はトップだけではなくて何人もいると思うんですね。だからその人たちもね、どう考えていたんだろうか。こんなことやっちゃいけませんってやっぱり言わなきゃいけないわけですよね。ちゃんと解明しなきゃいけないですね」

御厨

「武村さんいかがですか」

武村

「例えば給料とかなんかもね、まだ今でも男女の格差っていうのは、厳然として存在しているようですし、日本の社会全体でやっぱり女性のハンディキャップの立場に立っていることが少なくない。まだそういう日本社会ですから。世界全体から見ても遅れていると。その中で今度の問題は象徴的な事件なんで、やっぱりこれは大きな反省材料にすべきだと思いますね」