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第七〇四回('18年7月15日 放送)
 「私は日本をこう良くする」

ゲスト: 岸田文雄 氏/藤井裕久 氏

御厨

「さあ、まず岸田さんに伺いたいのは、今の日本の政治のどこを変える必要があるとお考えなんでしょう」

岸田

「まず政治のやり方、取り組みということにおいて、ひとつ考えなければならないのは、政治のやり方、進め方、物事の決め方として、トップダウンかボトムアップかという議論があります。要はトップが決めてそれを下に徹底する、これがトップダウンです。皆で議論して議論を積み上げて結論を出していく、これがボトムアップです。

日本においてはですね、かつて縦割り行政の弊害などと言われて、なかなか物事が決められない、やはり世界の迅速な動きに対応するためには、トップダウンで物事を決める必要があるんではないか。そういった発想で行政改革を党も進められて、官邸や政府に権限を集中する、こういった取り組みが進められました。このトップダウンということはもちろん大事なことだと思います。ただ、最近はトップダウンが効き過ぎてですね、どうも官僚が萎縮しているんではないかとか、自民党と政府、政府と与党の関係を見ても、どうも与党の議論が十分反映されないのではないかとか、そんな指摘もあります。

結論から言いますとですね、これ、トップダウンとボトムアップどちらが正解というものではないと思うんです。やはり必要な時にトップダウンを活用し、そして必要な時にボトムアップを活用する。その使い分けが出来る政治こそ、賢い政治なのではないかと思います。やはり世の中においても、何でもかんでも中央や大企業から押し付けられるというのでは皆さん納得いかないということがあるんだと思います。この使い分けが出来る賢い政治を実現しなければいけない。そして、その基準はですね、やっぱり国民の納得感とか国民の安心感なのではないか。こういったことについても、今一度考えてみる必要があるんじゃないか、こんなことは申し上げています」

御厨

「具体的には、現状ではですね、安倍総理の支持率は回復しています。森友問題・加計問題では7割が納得いかないとなってるわけですが。岸田さん、この状況どうお考えでしょうか」

岸田

「まず政権の支持率が回復している、維持されている、このことについては、今日までの様々な取り組み、経済であったり外交であったり、様々な取り組みがあり、その全体が評価されているということなんだと思います。

森友・加計問題については、国民から十分に理解を得られていないということについては、謙虚に受け止めなければならないと思います。国民がまだ不十分だと言うのであるならば、引き続き丁寧な説明を続けていかなければならない、こういうことなんだと思います。

いずれにせよ国民がどう評価するのか。この点をしっかりと大事にしながらですね、政府としても引き続き努力を続けていかなければならない。こうしたことだと思います」

御厨

「藤井さん、どうでしょう。『信なくば立たず』という言葉もありますけど」

藤井

「まずですね、少し具体的に申しますがね、岸田さんがいらっしゃるから言いやすいんだけどね。私は大平大蔵大臣の時ね、地方財政の主計官というのをやっていたんですよ。それでいつもお供して行ってたんです。

その時に大平さんが言われたことはね、俺は赤字国債を出すのは死ぬ程辛いとおっしゃってるんです。そういう親分なんですから。やって下さいよ。つまりね、ズルズルズルズルね、財政をルーズにやっているという人とは全く違うんですよ。大平さんはね。その点でまず大平さんを尊敬しています。

もうひとつ大平さんを尊敬するのは、ここで申し上げた楕円形の論理ですよ。一極集中になった時に、必ず社会は疲弊するんだと。楕円形でいくつか核があるという社会にしなければいけないと思うということを言われました。私は大平さんを尊敬する理由はこのふたつですね。

赤字国債はいかに悪かということ、そして複数の核があることによって社会は健全に動くんだと。どうか大平派の本流である岸田さん、頑張って出てくださいよ」