時事放談 トップページ 毎週日曜あさ6:00〜6:45
過去の放送 出演者 時事放談「サロン」 テレビプロデューサーの日々
 
 
第六七八回('18年1月7日 放送)
 「2018年 突入、総裁選イヤー」

ゲスト: 石破茂 氏/増田寛也 氏

御厨

「さあ、株は高いんですけど、石破さんどうご覧になる」

石破

「だから大胆な金融緩和をやるでしょ。日銀が銀行の持っている国債を買うでしょ。そうすると、お金がワッと世の中に出回るという期待ね、実際に出回っているかどうかは別としてですよ。

だから、米でも野菜でもなんでもそうだけど、作り過ぎると値段が下がる。お金もいっぱい出回ると、お金の価値が下がってくるよね、という感じで。そうすると、そんなに金持っていてもしょうがないや、売ろう。ということになって円安が起こると。ここまでは教科書通りなんですよね。

で、日本の株って7割くらいが外国人投資家が売買してるから、そうすると今まで1000ドル出さなきゃ買えなかった日本の株が、800ドルで買える、お買い得だよねと。で、外国人投資家が買う、株が上がるということが起こっているわけで。大胆な金融緩和、円安、株高っていう、それは理屈通りのことが起こってるわけですよね。

じゃあそうすると、一人ひとりの暮らしって豊かになりましたか。株が上がって、それは輸出産業中心にして円が安くなって儲かりますわね、円に転換すれば上がるんだから。だけど、そういうことと関係のない方々、地域ってのはたくさんあるんじゃないかっていうことですよね。

だから、株は安いよりも高い方が良い、円も適正水準な方が良いに決まってて、極端な円高なんて良くないに決まってる。だけど、これから先やっていかないといけないことは、実際に物価が上昇するってことも大事だけど、デフレ脱却のためにね、でも、一人ひとりの賃金が上がっていくか、もしくは可処分所得が上がっていくか、という方向に変えていかないと。せっかくアベノミクスで作った明るい雰囲気っていうものが台無しになっちゃうんじゃないか。せっかく作ったこういう状況を更に活かしていくために、何をすべきなのかなっていう、そのひとつが地方創生だったわけですよね。そして働き方改革であったわけで。だけど、その一つひとつの実効性っていうのを検証していかないと、株が高いことと円が安いことが政策目標ではありませんよっていうことですよね」

御厨

「増田さんいかがですか」

増田

「私は二つありましてね、一つは財政規律が少し隅っこの方に追いやられているんではないかなという懸念がありますね。それから後もう一つはですね、最近ノーベル経済学賞を取ったセイラーさんの本ではないんですが、行動経済学っていうのが随分話題になりましたよね。その経済学のですね、理論は理論でひとつあるわけですが、人間の心理っていうんですかね、人間の気持ちっていうか、不安。何が不安を掻き立てるのかってよくよく突き止めないといけないんじゃないかなと。

それから、若い人たちと話してますとね、最近はシェアエコノミーと言いますが。所有、物を持つということに対してすごい欲求心を持つ、マイカーとかマイホーム。それがすごい薄れていて。もう単に使えればいいと、シェアできればいいんだと、利用さえできればいいんだというふうに変わってきてるわけですよ。ですから、この人間の思いというか考えとか、あるいは欲求の変化ってものを、よく経済学を学んだ上で、いろんな経済政策を打っていく必要があるんじゃないでしょうかね」