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第六七五回('17年12月10日 放送)
 「『イロイロ』起きて…」

ゲスト: 平沢勝栄 氏/藤井裕久 氏

御厨

「警察出身者でもある平沢さん、何でこんなに急に北朝鮮の漁船が日本に流れ着いているのでしょうか。よくもまあ、あの小さい木造船で、とも思いますが、どういうことなんでしょう」

平沢

「最近急に増えているような感じがしますけども、例えば2013年に比べると全然変わってないんです、数字は。2013年から毎年50から80くらいの間でずっと漂着っていうか、そういう形で漂流して日本で発見されているんです。ですから、特に増えているわけではないんです。ただ、生存者が多いっていうのが、最近の特徴なんです。今年になって42人が生存しているわけです。今までは遺体と一緒に流れ着くとか、そういうケースが多かったんですけど。なんであんな小さな船でこんなに遠くまで来られるんだってよく言われるんですけど、一般的に言われているのは、北朝鮮が大きな船で運んでですね、大和堆っていう日本海に良い漁場があるんですけども、そこまで運んできて、そこで何十、何百っていう北朝鮮の漁船がそこで漁をして、漁が終わるとまたそれを引っ張って帰ると。ところがそこで漁業やっている時に、はぐれてしまったのが、結局1ヵ月くらい日本まで着くのにかかるんだそうです。1ヵ月くらい漂流して日本に着くということなんです。ですから、工作員っていう話ありましたけど、工作員が乗っている船っていうのは、こんなボロ船じゃないんです。一時、日本の海上保安庁の船が追っかけたことあるんですけど、スピードが追い付かなかった。そういう船に乗っていますから、工作員ってことは私はないと思います」

御厨

「藤井さん、やっぱり木造船でのイカ釣り船、なかなか、これ無茶な感じがしますが、どういうふうにご覧になってますか」

藤井

「今、警察の専門家がおっしゃった通りだと思います。私は、お話のようにですね、工作員なんて入っているわけはないと思います。まずひとつね。それからやはり来た人間で、やはり窃盗ですからね、これは確認した上で、それなりの処置をして頂きたいなと思っておりますね。私の知っている話で聞きますとですね、漁業戦とかなんとか言ってますね、その戦いの中でですね、ある程度以上をとったら個人的な魚にしてやるよというようなことも言われて、それで頑張ってるというのと。西海岸の方は、中国に漁業権を売っちゃったっていうでしょ。だから皆こっちに来てるんだと、そういう色んな理由があるように私は聞いております」

御厨

「平沢さんね、木造の漁船には北朝鮮軍のプレートが貼ってあるものもあるということですけども」

平沢

「軍のって書いてありますけども、北朝鮮では漁業権ってのは全部軍が握っていますから。ですから軍の標識が出ているのは当たり前なんです」

御厨

「なるほど。心配なのは北朝鮮情勢が緊迫する中で、こういう問題がクローズアップされてることなんですが、工作員はやっぱり心配はないということになりますか」

平沢

「今回の漁船とかなんかではないと思います。だけれども、工作員が来る可能性は十分あると思います。ただ、来るとすれば別の形で来るわけで、それからもうひとつ今回の件で分かったのは、沿岸があまりにも無防備だなと。例えば、秋田の由利本荘に着いた船もですね、船が着いて、乗組員の北朝鮮の人間が上陸して、それでどっかの民家のドアを叩いて、初めて皆知ったわけですから。それまでは分からなかったわけですから。ですからもう日本の沿岸っていうのはこんなに無防備だってことが良く分かったわけで。それで今、密航監視所っていうのはあるんですけども、しかし、本当にあちこちにあるわけじゃないから。ですからどうしても全部が守られているわけじゃないんです。ですから、その沿岸をどうやって密入国する人から守るかというのは、大変な課題を今回突き付けたなって思いますね」

御厨

「藤井さんね、北朝鮮で武力衝突があれば、あんな漁船でも辿り着くわけですから、多くの難民が見込まれますよね。この点はどういうふうにお考えでしょう」

藤井

「私はですね、まず戦争にしちゃ絶対いけないと思っているんですよ。やはり外交が大事だと。ただね、今のアメリカの大統領は、ああいうものの言い方してますとね、突然何が起きるか分からないという事で、私は非常に心配しています。特に、総理大臣に申し上げたいのはね、あのトランプさんと一体だ、なんて言うのはやめてもらいたい。若干の距離を置いてですね、しかし、日米安保は大事なんだという姿勢を取ってもらいたいと私は思っています」