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第六七一回('17年11月12日 放送)
 「『トランプ大統領アジア歴訪』で・・・」

ゲスト: 丹羽宇一郎 氏/田中均 氏

御厨

「トランプ大統領と安倍総理の首脳会談と会見、どのようにご覧になってますか」

田中

「安倍首相は北朝鮮に対して圧力を強めるということを掲げて選挙に勝たれたわけだから、ある意味日本の政策と米国の政策は一致しているわけですね。ですから、それを最大限プレイアップするというのが結果だったと思いますね。

一方において、トランプさんの極めて、従来から言われていることだけれども、商取引的なアプローチ、かつアメリカファーストであるというのは、これまで他の国でもね、赤字という問題を出して、日本の安全保障を強化する上でもアメリカ製の武器を買えということを言うわけですね。

ただ日本の場合には、基本的には、防衛大綱や中期防で決められているわけだから、トランプさんに言われて、ああ買いますよと言うわけにはいかないということだと思うんですね。同じアプローチを韓国でもしたという事だと思いますね」

御厨

「丹羽さんいかがですか」

丹羽

「私は個人的にはナッシングニューだと思ってるんです。ほとんど前から言われてることでありますし、防衛の問題につきましてもね、もう既にF35を42機決定しているわけですね。その他に、もっと買ってくれよと。これだけがやや想定外だと思いますけど。

あとですね、色々な軍事演習とかやっておりますけど、一般的な声としては、私の知る限りでは、『どちらが挑発をしてるんだろうか』という声が結構聞こえてくるんですね。それにしてはキム・ジョンウンさんはじっと我慢してるんじゃないかというような感じを受けましたけども。

やはり韓国に行きましてもですね、やはりそういうね、ムン・ジェインさんもね、話し合いというものを基調に最終的には据えていかなきゃいけないというようなのがね、やはり私は正しいと思うんですね。どちらに力点を置くかということでしょうから、やはり話し合いで解決するという方向が良いんではないかと。そういうふうに話を出していった方が、これから対話にもっていく場合においてもね、日本は非常にディスアドバンテージというか、そういうものはなくなるんではないかと思うんですね。

今のままでいきますと、日本がどうもね、アメリカと同じように悪者になるようなね、対北朝鮮を刺激してるような感じをですね、やはり受けるんではないかと思うんですね」

御厨

「今、丹羽さんこうおっしゃいましたけど、田中さんその点はいかがですか」

田中

「誰も戦争したいと思ってるわけではないわけで、これまでも随分長い、いわゆる対話の時期、時間っていうのはあったわけですね。ところが対話をしながら結果的に北朝鮮は核の開発を相当高いレベルまでやってしまったと。もう最後の段階じゃないかと。

そうするとね、本当に意味がある交渉をするために、その条件を整えるために圧力を高めていくっていうのは、私は決して間違ってないと思うんですね。だけどこれがね、圧力を加えることが目的なんだ、ということになれば、これは元も子もないけれども。結果的にはそりゃ安倍さんだって、トランプさんだってですね、ムン・ジェインさんだって、中国の習近平さんだってね、一体どの段階で交渉に入れるかというせめぎ合いの問題だし。

だからトランプさんは、日本に来て、韓国に行って、その次中国なわけですよね。で、そこまでに圧力を最大限に高めると。北朝鮮に対する圧力、この軍事的な圧力を含めて、圧力は中国に対する圧力。なぜかというと、中国が本当の意味で経済制裁に参加して、非常に強い措置を取らない限り、制裁をかけても意味ないわけですね。

中国からものが流れていくというのがあるから、だから、要するに核を持っていたらあなた生き残れないよということをデモンストレーションするためには、中国もロシアも、本当の強い措置をとって北朝鮮を孤立させるということがなければ、話し合いができないよ、ということだと思うんでね。それは私は間違っていないと思う。

だけど問題はね、その期間ひょっとしたら北朝鮮が暴発してしまうかもしれない。それから一体どういう段階でね、交渉に入っていくのかっていうことについてのシナリオ作りがされてないといけない。あたかもとにかく圧力をかけていくんだ、というような雰囲気が出てきてるのは、私は決して正しい事ではないと思いますけどね」