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第六六七回('17年10月15日 放送)
 「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」

ゲスト: 仙谷由人 氏/武村正義 氏

御厨

「仙谷さん、結局、民進党の衆議院議員が『希望』、それから『立憲民主党』、そして『無所属』に3分裂ですよね。この結果をズバリどう思ってらっしゃいますか」

仙谷

「結局ですね、民進党の所属の議員、特に若い議員から言えば、この間ずっと民主党という名前では選挙戦えないと。で、民進党という名前に変えたというかね、維新の一部の人と合同してそうしたんだけども。それでも選挙にならないという気持ちが非常に強かったといか、僕のところにもそういう声はあってですね、僕はわりと、それなら新党作りゃあ良いじゃないかと。そんなエネルギーないのか、くらいのことは言ってたんだけども。

ただ、今回のはちょっと渡りに船みたいな雰囲気が強くてですね、主体性というか、自分が何をやりたいからこういうことをやるんだというようなのがちょっと弱かったですね。外に伝わってくる雰囲気がですね。ただ、別に3つに分かれても、イデオロギーで分かれているような部分というのはそんなに多くないと思うんですね、僕は。だから、非安倍というか反自民で一緒にやる事も十二分にあるんじゃないかなと。その辺が、ある種の今の政治のわけの分からなさみたいなところでもあるのかなと思って見てます」

御厨

「さあ、いま仙谷さんはこうおっしゃってますが、武村さん。新党を立ち上げた経験者として、これをどうご覧になります」

武村

「私も排除された経験がありまして。今日の菓子は甘いけど、排除というのは思い出すとほろ苦いですね。排除されると言うのはね。突然だったし。

ところで、今回の前原さんの決断というのは、大変大胆だったと思うんですが。まあ結果論から見ればちょっと詰めが甘かったかなと。前原さんの立場から考えると、ボロボロボロボロ党からこぼれていくというか、脱党が続いたし、これが広がりそうな状況だから、何か新しい形を作らなきゃダメだという思いが非常に強かったんだと思います。そこで小池さんがあの党を立ちあげたんで、飛びついたというか飛び乗ったというか、そんな感じですね。

でも小池さんも何と言うか、しかしテレポリティクスの時代のチャンピオンと私は言いたいんですけど。テレビにおける政治の表現というのは抜群ですから。都知事選もそうだったけど、それで前原さんも非常に評価を高くして、飛び付いたんでしょうけどね。小池さんって人も、日本新党の時代から私も多少、知ってますけども、結構長いキャリアのある女性だけども。勝負師というか、モノを決める度胸のある人ですね。だけど、言葉なんかはそんなに深みがないような感じもします」

御厨

「消費税を上げて、その分を教育無償化に充てるというのが前原民進党の方針だったわけですよね。希望の党ではそれが凍結になっちゃった。仙谷さんはこの点、どうでしょう」

仙谷

「前原さんはその点はちゃんと主張をして、それならばもうやめようということを言うべきだったと僕は思いますね。だけど、反対に今度は立憲民主党を主軸で担ってる人達はわりと消費税回避型が多いんですね。これはもうどうなってるのかというのが私のやるせない気持ちですね」

御厨

「武村さんいかがですか」

武村

「そこは私も同感なんです。今回の選挙を見ていて、与野党通じてこの国の巨大な財政赤字に対する責任論って全然ありません。自公さんは消費税を上げることを2回も先送りして、やっとこさ今回はやむを得ないという考えなんですが、それでもあの8割の財源は財政再建に振り向けることが決まっていたのにですね、その2兆円くらいを引っ剥がして、児童教育やら児童保育にばら撒こうとしてるんですから、ものすごく安易なばら撒き方をしてるし、裏を返せば財政再建に対する全くの無責任さが示されているわけで。

野党もしかし、昔の民進党も思い出して欲しいんですけどね。野田内閣ではあの消費税を上げる合意を決めたんです。ああいうまじめさをね、もう一度回復して欲しいと私は思うんですが、凍結だとか中止だとかね。消費税を言えば選挙に損だといわんばかりで、ポピュリズムの競演で終わっているのが今の選挙です。大変残念ですね」