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第六五四回('17年7月2日 放送)
 「『梅雨』の中で…」

ゲスト: 村上誠一郎 氏/片山善博 氏

御厨

「さあ、村上さん。稲田防衛大臣が選挙の応援演説で「防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい。」などとの発言。言うまでもなく憲法15条は全ての公務員は、「全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」と定めているわけですよね。そして、公職選挙法で公務員は「その地位を利用して選挙運動をすることを禁じている」というわけですけど、いかがでしょう」

村上

「正直申し上げてですね、弁解の余地がないんじゃないかなと。特に我々のような一般の大臣でもですね、非常に看過しがたい発言であるんですが。稲田さんの場合は、弁護士なんですよね。一応、法律には我々以上に詳しいはずなんですね。だからもっと、なんて言うんですかね、発言は慎重にされなきゃいけないんじゃないかということと。実はそれ以前に私が問題と考えてるのはですね、陸上自衛隊の日報が廃棄されているという事なんですね。あの時ですね、南スーダンにですね、駆けつけ警護の命を受けて行ったわけですね。で、非常に危ない状態だったんですね。それで、私は集団的自衛権もさることながら、駆けつけ警護もですね、結局、威嚇射撃しかできませんから、非常に危ないんですね。だからそれを早く、送るべきかどうか、撤収すべきかどうかは重要な判断なんですね。それの一番基本になるこの日報がですね、自衛隊のどこにもなかったということは、自衛隊の皆さん方のですね、命を預かる総責任者として、あまりにもですね、私は責任感がないんじゃないかと。そっちも非常にですね、私は心配しております」

御厨

「村上さんこうおっしゃいましたけど、片山さんいかがです」

片山

「本人はちょっと軽い気持ちで言われたのかもしれませんけどね。でも、言った内容はやっぱり重大ですよね。公私の区別をつけるって言いますかね、政治活動はして良いんですけど、一定の公職にあるものは地位利用をしてはいけないって、これは基本ですから。特に大臣で、しかも自衛隊っていう組織を率いる大臣ですから。特に自衛隊はそういう選挙とか政治から隔離するようにしてますんでね。そのトップがやっぱり厳しく自覚をしていないといけないと思います。それがなかったんではないかと思います。もうひとつはですね、辞任要求っていうのが野党から出ていますけれども、それに対して、撤回したんだから良いじゃないかと。今後とも仕事をしてもらったら良いじゃないかって。こういうことですけどね。地位利用っていうのは、一般の公務員にもあるわけですよ。学校の先生にもあるんですね、教育上の地位を利用して選挙運動しちゃいけないって。似たようなことがあった時に、撤回したから良いじゃないかと。こういうことになるのかどうかですよね。ですから、稲田大臣は撤回したから良いんだけど、他の一般の公務員の場合は許さんというようなことだと、法の下の平等に反しますよね。そういうことまで考えてどういう処分、処理をされるかってことは考えた方が良いと思いますね」

御厨

「村上さん。稲田大臣はこのまま自衛隊を指揮していけるんでしょうか」

村上

「それはですね、任命権者が本当はですね。やはり大所高所から判断するべきことだと私は思っておるわけですけども。やはり私が心配するのは、安倍さんはお友達を大事にするあまりですね、ちょっと優遇というかですね、いろんな面で厚遇し過ぎてるんじゃないかと。やはり今村さんがですね、ああいう形で責任取られたわけですから、それに比べるとちょっと平等ではないんじゃないかなという感じはしますですね」

御厨

「片山さんいかがですか」

片山

「私、自衛隊の皆さんにとっても、とても迷惑な発言だったと思うんですね。やっぱり国民の皆さんのために、身命を賭して働く人たちですよね。その人たちが選挙で自民党の下に置かれて、で、選挙に利用されるというような印象を与えかねないですよね。そういうふうなポジションに、地位に自衛隊が置かれる、そんな印象を与えるってことは、とても耐えがたい事だと思いますね。ですから、単に、言ってちょっと間違いました撤回しますっていう問題ではなくって、もっと影響は大きいものだということを自覚しなきゃいけないと思いますがね」