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第六四七回('17年5月14日 放送)
 「『イロイロ』動いて…」

ゲスト: 鴨下一郎 氏/玉木雄一郎 氏

御厨

「玉木さん、野党がこれに一斉に反発しているのは、国会答弁の「読売新聞を熟読して」という発言のようですが、この点いかがですか」

玉木

「私その時の予算委員会に委員として席に座ってましたけど、びっくりしましたね。「読売新聞を熟読せよ」という、そういう答弁っていうのは、かつてないと思いますし。それなら例えば、同じことを聞くこともよくあるんですが、議事録を熟読して下さいというような言い方だって可能になるわけですね。そうではなくて、きちんと説明すべきことを議会の場で説明するのが、行政の長たる内閣総理大臣の仕事でありますから。そのことを放棄してることについてはですね、非常に議会軽視というよりも、根本的に民主主義の有り様に対して、真摯に謙虚に向き合うというそういう姿勢を欠いているなと思いましたね。実はこれ、我々野党ではなくて、委員長もですね、この後に苦言をその場で呈していましたから、もちろん自民党の浜田委員長ですけども。やっぱりこれ与野党越えてですね、これ大きな問題だと考えざるを得ないと思いますね」

御厨

「玉木さんこうおっしゃいましたけど、鴨下さんいかがですか」

鴨下

「玉木さんが怒るのも無理もないというふうには思います。私もあれを見ていましたけれども、長妻さんもっと本来だったら怒り狂う話なんだろうなと。こういうふうには思いますけれども。その5月3日の読売新聞、私も熟読しましたけども。総理が考えていることというのは、総理としてですね、国会に何か提案するというのは出来ないので、総裁としての自分の意見をですね、そういう新聞に、1つの新聞でありますけども、そこに自分の意見を開陳してあるのでと、こういうことで多少言葉が足らなかったんだろうとは思います。それについて今度は蓮舫さんがですね、「じゃあ総理と総裁と使い分けるのか、二枚舌じゃないか。」って、こういうふうに話をしてますけれども。物を考えていく上ではやっぱり総理がですね、憲法の改正を国会に提案する話っていうのは、かなり筋が違うと思いますので。自民党の総裁として、自民党の中でそういう議論をしていって、先ほどの9条のですね、戦争放棄と戦力の不保持、その次に、もし自衛隊をどういうふうに書き込むかっていうのは、これ私たちもですね、どういう知恵があるのか。総理っていうか総裁のご意見をもっともっと詳しく聞いてみたいと思いますし。本来的に我々は自民党の結党の時にですね、憲法改正っていうのは党是の1つでありますので。それを野心的に2020年に施行っていう形で提案した、新たなアジェンダを作ったっていう意味ではですね、野心的だなとは思いますけれども。これから丁寧な議論をして頂きたいと思います」

御厨

「玉木さんね、その改正の仕方について、9条の「戦争放棄」の1項、それから「戦力不保持」の2項、これをそのまま残すと。で、3項に自衛隊の存在を書き込もうということですがこれどうお考えになります」

玉木

「まず2012年の自民党憲法改正草案ってありましたね、国防軍として位置付けて行くと。で、これとの整合性はどうなっているのかなと。長妻さんももうちょっと怒ったらいいと思ったんですが。石破先生も鴨下先生ももう少し怒った方がいいなと私が思ったのはですね、やっぱり党内議論を経ずして、総裁が党で正式決定したこと以外のことを特定の新聞に話すと。メディアを選択してそれを出していくっていうこと自体、私はどうなのかなと思ったのと。仮に1項、2項を維持したまま3項に位置付けるということなんですが、自衛隊を位置付けるのが大事なんではなくて、どのように位置付けるかが大事だと思うんですね。もっと具体的に言うと、この間我々は例えば、いわゆる安保法制で限定的な集団的自衛権の行使は合憲だということでですね、ずっと説明を受けて来ました。これについては色々今でも議論は分かれますけども、ただ自衛隊の最高指揮官として自衛隊は合憲であり、新たに付与した自衛隊の任務も合憲だということであれ程説明してきたわけですよね。それに加えて、越えて、何かを付与した上で位置付けるのか。もっと言うと、いわゆるよく言うフルスペックのですね、日本に直接、我が国の存立に直接影響がない他国に対する攻撃であっても、我が国は参戦してくんだと。こういう意味でのフルサイズの集団的自衛権を認める意味で3項に書くのかどうか。そういったことについては、実は一切語られていないわけですね。ですから、やっぱり私はちょっとこれ、唐突だし乱暴だと思いますね」