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第六三三回('17年1月29日 放送)
 「止まらぬ『トランプ』激動世界の中で…日本はどうすべきか」

ゲスト: 玉木雄一郎 氏/田中均 氏

御厨

「玉木さん、アメリカ第一を掲げ、それを具体化させ始めました。この1週間の大統領ぶり。これをご覧になって、そもそもトランプ大統領って一体なんなのか。どうお考えでしょう」

玉木

「むちゃくちゃですよね。むちゃくちゃなんですが、侮れない、馬鹿に出来ないな、というふうに思います。実は現実的になるだろうということを、識者の方、皆言ってたんですけど、全くなりませんよね。ある意味、言ってることをどんどん本気でやってるし。私はその意味では、戦後の秩序をですね、大きく変える存在になると思います。それが良い方向に変えるのか、悪い方向に変えるか、というのは分かりませんが。とにかくですね、世界を変えていく可能性のある存在ではないかなと思って注視しています」

御厨

「田中さんいかがでしょう」

田中

「私はものすごく深刻に捉えているんですね、2つの意味でね。やっぱり私たち、きちんとアメリカにものを言わなきゃいけないと思うんですけどね。2つの意味っていうのはどういうことかっていうと、1つはね、リーダーシップってことですね。そりゃアメリカがね、間違った軍事的行動に出た場合っていうのはありますが。押し並べて言えばね、アメリカという国は世界の秩序を維持することが、ひいてはアメリカの利益に繋がるという、基本的なリーダーシップに考え方があった。それが今、アメリカファーストっていうのを聞いてるとね、あたかも世界の秩序っていうのはどうでもよくて、アメリカの利益ということだけに着目しておられるような気がする。これは世界が乱れますよ。もう1つのね、ものすごく懸念する点はね、私たち例えばロシアがクリミアを併合すると一方的行動だって非難したわけですよ。それから、中国の南シナ海でまさに埋め立てをし、軍事的な行動をすると、一方的行動はよくない。こういうことを当然言うわけですね。ところが、米国がこの1週間にやっていること。例えばあれだけ皆が協議してやってきたTPPを一方的に自分たちは不参加だと。それから、メキシコの壁もそうですよ。あたかもね、なんか世界で自分たちが決めることが通じるというね。その一方的行為ってことに対してはね、私たちは注文を発しなきゃいけない。アメリカって国が一方的行動をとるということに対してはね、やっぱり我々強い意思を持つべきだと思いますね」

御厨

「玉木さんね、今もお話出ましたけども、具体的にはメキシコの壁。これまさかそこまではという見方もあったんですけど。結局は大統領令に署名するという事態です。しかもメキシコに建設費を要求して拒否されると、現在ゼロの関税を20%にする。玉木さんこういう動き、これどういうふうにご覧になっています」

玉木

「普通、常識的にはあり得ないんですけども。例えば壁を建設して、その費用をメキシコ側に払わすと。今度は関税を掛けると。そうすると今までのNAFTAのその自由貿易の枠組みとか、あるいはWTOとの関係でもですね、アメリカは孤立していくのか、ということを懸念せざるを得ませんので。本当にその意味ではですね、今まで戦後、ある種アメリカを中心に作られてきた基本的価値というものがですね、根っこから崩れ去る、そんな危険性を秘めていると思いますね」