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第六一四回('16年9月11日 放送)
 「さあ突入、臨時国会!!」

ゲスト: 丹羽宇一郎 氏/浜矩子 氏

御厨

「年金の株式運用などがですね、3ヵ月で5兆円を超える損失というこの事態。どうご覧になります」

丹羽

「僕は少し根本的なところから、政府は考え直した方が良いと思いますね。公的年金の運用コードというのが3つの法律がありますよね。3つの法律というのは、安全と効率というのが基本にあるんですね。

今やっておられるのは、非安全、非効率の分野のウエイトを増やしておられる。国内の株式、外国の株式、それから債権。それでもっとも安全だと言われている債権をね、60%からね35%ですか、減らしているわけ。で、減らしたものは全部損している。そのコードの具体的な数字はですよ、実質的な運用の結果がですね、年金の運用からね、名目の賃金上昇率を引いて、1.7%を最低限のリスクとして運用しなさいっていうのは、厚労省のですね、大臣からGPIFにね、そういう要望が出ているんです。これは法律に基づいたものですよね。

それが今ですね、去年はマイナスの3.8とか9とか、それから実質的に今年の上半期もね、第1四半期もやはり3.78のマイナスなんです。1.7から比べるとねもう5.いくつのね、差が出てるわけですね。これからどうやって安全と効率とそれから1.7。ミニマムとしてね、稼いでいけるかと。最もねリスクの高いものが株式なんですね。

それからね、外国の債券なんていうのはこれ為替介入に近いような話でしてね、そういう事を考えますとね、しかも2000社くらいある1部上場企業の3分の1でしょ、500社以上が筆頭株主だと、こんなのはね経済界から言うと、もう資本主義社会じゃないですね、中国以上に国政の株価であり、国政の株式市場なんです。こんな国はね恐らく世界中探してもないじゃないですかね。

今にですよ、株式市場がですね、どんどん流動性が失われてですね、崩壊するんじゃないかと。それで出口がね、考えたらありえないんですよ。私はこういう株を持ってますよって公表する訳でしょ。こんな株式市場はないですね。だから公開された株式が筆頭株主だったら、一体その会社はどうするんですかね。売り始めたら暴落しますよね。株式市場は、国が動かしてしまうのか。それで有識者が集まって、あれ買おうこれ買おうって絶対当たりません。協議して当たるんであればですよ、とっくの昔にね、官僚の方々が協議して当たってますよ。

絶対に私はね100%確信を持って、自分の体験から言ってね、みんなで協議してこの株を買いましょう、しかもパッシブルなオペレーションです。受け身ですよね。だから積極的にやるんじゃなくて、じーっと持ってるでしょ。これはね大変なリスクだし、浜さんも当然ね、相当の批判があると思うんだけども、私自身もねこれは絶対ね考え方を改めてね、やり直した方が良いんじゃないかと。資本主義の否定ですよこれ」

御厨

「浜さん。2014年の10月に株式の運用枠を50%と2倍にしてからで見ても、約2年間で約2兆円の赤字になってしまっています。どうご覧になります」

「酷いもんですよね。丹羽さんもおっしゃっていましたけど、本当に正真正銘、大丈夫じゃない状況ですね。大丈夫じゃないって意味は色々ありますけど、まずはこのGPIFと日銀合わせて公的部門が筆頭株主になっているって状況ですよね、これって言ってみれば日本経済全体が次第に国策会社化していくというような姿ですよね。

こんな状況を平気で推進していくと、そのような公的部門と付き合うように強いられていると、この空恐ろしさと、とんでもなさというのは筆舌に尽くしがたいと思いますし、GPIFについて言えば、なんのためにこういう年金運用の機関が存在するのかといえば、それは年金受有者のために存在するわけのはずですよね。だけどほとんどそれを皆忘れてしまっているのではないかというふうに思います。

やっぱりその国策的に株価を押し上げるということに加担することに良心の呵責も感じないというのは、それこそ何を協議しているんだろうという、向いてる方向が全然違うということが明らかですし、本当の本当に怖い状況ですね。やっぱりその日本経済の国策化、大日本帝国会社が着々と構築されようとしているということではないかと思います。我々はそろそろ革命の準備を進める必要があろうかというふうに思うところでございますね」

御厨

「どうなんでしょう、丹羽さん。これ運用している独立行政法人などでは、誰も責任を取っていないということですがどうです」

丹羽

「大体ね、オリンピック委員会もそうだし、日本経済もなんとか委員会っていうのが乱立してましてね、一体どこに司令塔があるのか分からないですね。今のGPIFとかETFとか日銀のね、一体だれが責任を取るんだ、結局みんな国民に降りかかってくるんですよ。大損したりすればね。

それをね、協議して委員会で決めるって、あるいは学者なのかね、経済界の人なのかね、そんな人で当たるならですよ、もう株式市場なんかね、なくなりますよ。みんなが協議して当たるなんて株式はないです。どこにも。

そういう事考えますとね、私は資本主義社会崩壊の入り口に入ったんじゃないか、それくらいいい加減な、でたらめな方法だと思うんですよ。国政株価、国政市場でしょ。これ一刻も早くね、考え直した方が良いんじゃないですかね。

いずれにしても国がね、日銀にしても、あまりにも関与する、このマーケットに入りすぎると、ということは中国の共産主義的資本主義以上ですね、やっていることは。これは競争だとかね、あるいはそういう規制緩和で、民間に自由な動きをさせるとかとは全くその反対やってるわけですから。最近の日銀は打つ手がないということの証左じゃないですかね」