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第五七〇回('15年10月25日 放送)
 「『安倍改造内閣』これからどうする」
 ゲスト: 菅義偉 氏 / 増田寛也 氏

御厨

「さあ、菅さん。1億総活躍社会を掲げて、目指すGDP600兆円です。前年度500兆円。そして4月から6月ではマイナスという状態で、2020年をメドに達成しようとすれば、年に3%の成長を続けなければならないという計算です。これ、実現可能なんでしょうかって見方が多いわけですが。どうでしょう、ズバリ可能でしょうか」

「これは総理が目標に掲げてますから。私達、実現できるように全力でこれから取り組んでいくと。その対策に加藤大臣のもとで作って、しっかりいきたいと思います。それと同時にですね、政府目標というのは実質2%成長ですよね。名目3%成長ですから。その数字を当てはめると600兆円近くなるんですよね、2020年に。まさにですね、これからオリンピックもありますよね。TPP大筋合意がありました。それに日銀の物価目標2%ですよね。ここで完全にデフレ脱却をして進んでいきたいと思っています」

御厨

「今、菅さんはこうおっしゃいましたが、増田さんはどうご覧になってます」

増田

「結局、これまで政府が一番力入れてた対策、デフレ脱却に向けてね、結果として600兆まで伸びるということはですね、それがほぼ払拭したという結果になりますので。私は前回の3本の矢、これが当然、今後も継続されていくというふうに思いますが。ですから、今まで出てきた目標に、新たにまた全く別な異質なものが入ってくるというよりは、むしろ、今までのものをどうやってさらに加速させていくのか。新三本の矢の1本目がこれですが、あと2本目3本目も含めてね、全体をきちんとやっていくと。違うものがパッと出てきたというよりはね、今までのものをより確実に加速させていく上で何が足りないかもう一回点検するような、そういう事じゃないかと思いますけどね」

御厨

「そして、明るい話題としては訪日客が増えているという事がありますね。菅さん、これはどうご覧になってます」

「これはですね、私ども2020年に2000万人だったんですね。今年、今までの数字をですね、そのまま当てはめますと、2980万くらいになっちゃうんです。なっちゃうって言い方おかしいですけども。政府が規制改革でですね、ビザを緩和しました。また免税品もですね、電気製品中心から薬だとか化粧品だとかお酒だとか、こういう地方での名産品、そういうものを大幅に拡充したんです。その結果としてこんなに一挙にいくとは思ってなかったですね」

御厨

「予想外ということですね」

「でも、良かったと思ってますし。それでひとつだけ宣伝しておきたいのがですね。当初これ、法務省と警察庁大反対だったんですよ。ビザ緩和をすれば不良外国人が来る、犯罪が増える。しかし去年まで、この2年間で500万人増えたんですけども、外国人犯罪は減少してるんですよ。ですから、この治安の良さっていうのも日本の大きな売りですから。ここもしっかりやっていきたいと思います」

御厨

「増田さんいかがですか、これ」

増田

「あちこちに行きますと、特に西側の方ね、クルーズ船がもうすごく寄港が増えた。大きく言うと観光なんですが、観光の中でやっぱりこういう外国人が大量に来るというのは、結果としてクルーズ船がうんと寄港してくるだろうと。中身はだいぶ変ってきてると思うんですが。ただ一方で、まだ岸壁が十分にそれに対応できてないとかいう事があるんでですね。観光の内容がだいぶ変わってきてると思うんで、それに合った対策というんですかね、整備だとか。あんまりインフラに大きなお金というよりは、ソフト面なんかをもっと。色んな問題がまた逆に出てきてますから、それを急ぐって事が必要でしょうね」

「ただですね、クルーズ船ですと博多がですね、今年約300なんですね。来年の予    測は400超えてるっていうんですよ、予定では。一番大型は5000人なんです って。そういう状況ですから」

増田

「1回にもう100何十台のバスがバーっとついてるっていうんですから。今まで見たことない光景ですよね。ですから、それだけソフトの面も大事になりますね」

御厨

「問題が何かも見えてくるっていう事ですね。そして、希望出生率1,8です。菅さん、これを新3本の矢に挙げた理由ってのはどういう事でしょう」

「今までですね、少子高齢化対策、これは極めて大事だと。前の内閣、ずーっと皆さんそう思ってやってきました。しかし具体的にですね、目標も掲げた内閣ってなかったですよね。希望出生率1,80。これは子どもを産む産まないはそれぞれ個人の自由であることは当然の事なんですけども、しかしそういう数字がありますんで。そういう環境を作っていくということは政府の大きな役割だというふうに思ってます」

御厨

「増田さん。その実現に向けてはどうすべきだとお考えです」

増田

「例えばですね、地方の方の中小に行きますとね、育休はおろか産休も取るのもなかなか大変とかですね。やっぱり今、共稼ぎが当り前の時代になってきた中でですね、女性の、ママさん達の働く環境がまだまだ改善されていないところがあるので。色んな少子化対策の中身が必要だと思うんですが、特に私はやっぱり働く環境の改善というんですかね。それから後、これは耳が痛いですけど、男の育児・家事への参画時間が著しく低いんですよね。ヨーロッパに比べて、たった平均1時間で、向こう3時間半くらいですから。だからやっぱりそういうところをね、全全体としてどこが足りないという事をはっきりさせて、それをきちんと取り組むという事が大事すね」

御厨

「さあそして、介護離職ゼロという事ですね。現在は年間10万人が離職ということですが。これ、もう一度増田さんに伺いたいんですが、どういう状況か。そして、どうして仕事を辞めなくてはいけないのか」

増田

「これから団塊の世代がですね、ちょうど今年65で。まだ皆さん元気な人達ばかりですが、10年後には全員75になってですね。流石にいわゆる後期高齢者になるとですね、医療介護需要ってのはグンと増えるわけですね。もうすでに今段階で特に東京が顕著なんですが、施設の対応も待機者がうんといて足りないですしね。かといって地域包括ケアでやろうと思ってもコミュニティーが崩壊してるっていう事があるので。残念ながら認知症型の場合にはどうしても家族が対応するとなると、今言った介護離職のような事になってしまうと。ここはやっぱり総力を挙げて手立てを講じる必要があると思いますね」

御厨

「こちらも大変ですけど。菅さん、これは具体的にはどんな方策が考えられますか」

「まずですね、施設をしっかり整備することですよね。今、増田さん言われましたけど、介護離職者が多いのはやっぱり都会なんです。特に東京中心に多いんですね。で、土地がない。国有地を思い切って出そうと思ってます。それとかですね、あるいは特区でですね、公園にそうしたものを一部作るとかですね。色んな事を今、考えてます」