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第五六五回('15年9月20日 放送)
 「『歴史の節目』で・・・」
 ゲスト: 石破茂 氏 / 藤井裕久 氏

御厨

「さあ、なおも反対意見というものが国民の間に多く残る中で今回の混乱の果ての採決ということになりました。石破さんズバリどういうふうに思っていらっしゃいましょう」

石破

「これはね、その3つの論点があって。ひとつはなぜ必要なのか、軍事的にね。弾道ミサイルの上に核が乗れば、もう数分で日本まで来ちゃうわけでね、それってそれはじゃあ他国に対する攻撃なんだからうち関係ないよねって言っている間に、瞬時に、サイバーなんてもっとそうですけどね、我が国の平和とか安全が根底から脅かされる事ってありゃしませんから」

「もうひとつは国連というものを考えた時に、国連の建前って、侵略戦争もダメだけど自衛戦争もダメだよって事になってるんですよね。じゃあどうするんだ自衛戦争もダメだったら。国連が来てくれて解決してくれるからさ、だけどアメリカロシア中国イギリスフランス、5カ国のうちのどこか反対したら国連来てくれないわけだから。じゃあ自衛戦争もダメだったら酷いじゃないのって言うんで、国連が来るまでの間自分の国を自分で守って良いよ、っていうのが個別的自衛権。お互い守り合って良いよ密接な国、が集団的自衛権。これをどう考えますかってお話、そして憲法のお話。この三本立てなんですよ」

「だから憲法違反、憲法違反って方もずいぶんおられた。でもそれって過去の経緯のお話をずっとおっしゃるだけで、なぜなのって話を良く理解いただけなかった。私たちもね。で、軍事的になぜなのって話もそうだし、国連の仕組みもそうですよね。やっぱりそれは今までずっと私どももそうだけれど、小学校から大人になるまで、そういう事ってあまり教わってこなかった。自衛権と警察権って何が違うんですかとか、国の独立ってなんですかとか、抑止力ってなんですかとか。ですから、これで出来たからもういいや、じゃなくて。そこからもう一回きちんきちんとやっていった上で、国民の方々のご理解を深める努力はしなきゃいかんですね」

御厨

「さあ、藤井さんどうでしょう」

藤井

「まあ、ひとことで言えば世の中の世論はですね、反対または慎重にを含めてそれが絶対多数の時にですね、それを強行するという事態はですね、私は民主主義の冒涜と、世間もおっしゃってますが、その通りだと思うんです。で、政策の内容にひとつだけ申しますがね、積極的平和主義ってのがありますがね、あれは集団的自衛権の事ですよね、集団的自衛権って何だと。これは明らかに対等の軍事同盟を結ぶ事なんですよね。対等な軍事同盟を結ぶという事は、日本では過去において日英同盟と、日独伊三国同盟と、二回しかないんですね」

「この特徴がふたつあるんです。ひとつはですね、仮想敵国を必ず作るんです。安倍さんは恐らく中国を仮想敵国にしていると思います。口では色んな事おっしゃるから別として、そうだと思います。もうひとつはですね、同盟国の相手の言う事をある程度聞いていかなきゃいけないと。例えば日英同盟の時はですね、帝国海軍の軍艦はね、地中海まで行ってるんですよね。何にも地中海は関係ないんです帝国海軍にとってはね。だけど行かざるを得ないんです。そういうことが、この対等の軍事同盟の特質であるというふうに考えてます」

「それから今、国連の話されましたね。これはね、どう考えるかって非常に難しいとは思いますが、第一次大戦の時の話をいつもするんですが、ウッドロウ・ウィルソンはですね、セルビアとオーストリーの喧嘩じゃないかと。それを対等の軍事同盟にまで、それに近いものを結んでるから、こういう世界戦争になるんだと。だから国連なんだと、あの時は国際連盟でしたね。ということを言っておりまして、その理念、ウッドロウ・ウィルソンの理念っていうのは非常に大事な事を含んでいるように思います」