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第五五七回('15年7月19日 放送)
 「突入『緊張の夏』」
 ゲスト: 武村正義 氏 / 藤井裕久 氏

御厨

「藤井さんは今回の事態、どうご覧になってます」

藤井

「大体、国家を挙げての行事だという発想が間違いなんですよ。いつか申し上げましたね、ベルリンオリンピックでヒトラーが『民族の祭典』と言いましたね。民族の問題じゃないんですよね、本当のことを言えば東京、都市の問題なんですよね。それであるべきなんだけども、それは国から助けてもらう部分があってもいいとは思いますが、そこいらのケジメがはっきりしていないのがひとつなんですよ。

それからもうひとつ、確か私は万博の話、したと思うんですよね。万博の予算をやっていたんですよ。そしたら岡本太郎さんが来たんですよ。そして太陽の塔がいかに大事かという話をされました。それは非常に傾聴すべきことだと思ったんですが、お金はどのくらいでしょうかと言ったらね、そんなこと分かるわけねえよと言われましたよ。そしてその時は母体は通産省です。通産省のある人に言ったらですね、私たちで責任を持ってお金は処理しますと。結局ですね、そのお金は税金じゃなくて、そこの部分、太陽の塔は何にしたかというと、入場料でまかなったんですよ。あれ入場料でまかなったんですね。つまりね、芸術家とかそういう人にね、お金の事までやれっていうのは無理なんですよ。裏にいる人がちゃんとやらなきゃだめなんですね。

それからもうひとつ言ったのはね、後の事を考えろと言った偉い先輩がいたと申し上げたと思うんですが。後の事っていうのはね、維持費が1000億もかかるなんてメチャクチャなんですよ。それからもうひとつあの時言いましたのはね、必ずオリンピックの後はオリンピック不況が来るんですよ。前の時もある程度来たけど、高度成長の余波でなんとかなりました。今度はもっと激しく来るのは間違いないんです。それは建設業の人も皆ね、昔経験した人は分かってますからね、斜に構えてますね。とにかくどれだけ落っこちるかという問題に2500億も使うというのはね、落っこちる率が多くなる。それでも儲かる人はいるかもしれないけど、その分落っこちるわけですから」

御厨

「まあ国民から見ますとね、1300億円から始まっていつの間にやら計画が進んでなんと2520億円と。それでも屋根の建設費は入ってない。今後更にますます増えるということになったんですが、ここに来てまた一転、今度は見直しという事になりました。武村さん今回の経緯、公共事業のあり方として見た場合どうですか」

武村

「とにかく1300億円がそもそも先のロンドン、北京に比べればもう倍以上ですから。何でこんなに高い額が最初からいわれているのかも不思議だし、北京、ロンドン以下の額で節約してね。僕はこれ地元で話ししてたら、武村さんあの大きなのテントでやったらどう、という女性がいましたけどね。ちょっとテントは質素すぎるかもしれませんが、でも庶民にはそういう発想があるんですよ。やっぱり競技場はきちんと作るけれども、観覧席は仮設で最小限の経費で良いじゃないかと。

私はこの問題を見ながら、なぜこうなったのかということで、スポーツを始めとして色んな団体とか業界とか、色んな分野がありますね。政治じゃない分野ですが、そういう世界は、何か日本は戦後70年経ってかなり組織が形骸化してるとか、あるいはボス化してるとか、特定の人が牛耳ってるとか私物化してるとか。そういう現象があちこちに起こっているんじゃないか。今度のこのオリンピックの問題を見てもですね、スポーツ関係の団体の体質がどうなってるのか。各スポーツ関係も、ひとりの人が会長を20年も30年もやってるような団体があるんじゃないか。どんどん新陳代謝をしたらどうかと。総理大臣をやってた人がドーンとスポーツの団体の会長に座ってね、オリンピック差配してるなんてこと自体フェアだと思わない。スポーツ関係者がやれば良いと私は思うので、政治家が何でそこまで辞めてから介入するんだというふうに言いたいし。そういう組織のあり方、この背景には色々矛盾や問題点があるんじゃないかと思います」