「大体、国家を挙げての行事だという発想が間違いなんですよ。いつか申し上げましたね、ベルリンオリンピックでヒトラーが『民族の祭典』と言いましたね。民族の問題じゃないんですよね、本当のことを言えば東京、都市の問題なんですよね。それであるべきなんだけども、それは国から助けてもらう部分があってもいいとは思いますが、そこいらのケジメがはっきりしていないのがひとつなんですよ。
それからもうひとつ、確か私は万博の話、したと思うんですよね。万博の予算をやっていたんですよ。そしたら岡本太郎さんが来たんですよ。そして太陽の塔がいかに大事かという話をされました。それは非常に傾聴すべきことだと思ったんですが、お金はどのくらいでしょうかと言ったらね、そんなこと分かるわけねえよと言われましたよ。そしてその時は母体は通産省です。通産省のある人に言ったらですね、私たちで責任を持ってお金は処理しますと。結局ですね、そのお金は税金じゃなくて、そこの部分、太陽の塔は何にしたかというと、入場料でまかなったんですよ。あれ入場料でまかなったんですね。つまりね、芸術家とかそういう人にね、お金の事までやれっていうのは無理なんですよ。裏にいる人がちゃんとやらなきゃだめなんですね。
それからもうひとつ言ったのはね、後の事を考えろと言った偉い先輩がいたと申し上げたと思うんですが。後の事っていうのはね、維持費が1000億もかかるなんてメチャクチャなんですよ。それからもうひとつあの時言いましたのはね、必ずオリンピックの後はオリンピック不況が来るんですよ。前の時もある程度来たけど、高度成長の余波でなんとかなりました。今度はもっと激しく来るのは間違いないんです。それは建設業の人も皆ね、昔経験した人は分かってますからね、斜に構えてますね。とにかくどれだけ落っこちるかという問題に2500億も使うというのはね、落っこちる率が多くなる。それでも儲かる人はいるかもしれないけど、その分落っこちるわけですから」
|