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第五五六回('15年7月12日 放送)
 「緊張の夏」
 ゲスト: 増田寛也 氏 / 浜矩子 氏

御厨

「新国立競技場そもそもなぜこんな事になってしまったのか。増田さんは建設省のご出身ですし、公共事業にもお詳しいわけですが、これズバリどうご覧になります」

増田

「やっぱり事業を推進する主体がはっきりしていなくてですね、発注は別組織なんですが、国立のこういう競技場ですから、やはり所管の文科省がきちんと工期から財源から含めて全部、早め早めに手当てしていなくちゃダメだったと思いますね。それで、あまりにも巨額過ぎる。他の国のオリンピックのメインスタジアムに比べても。それから、間に合うんだか間に合わないんだか色んな人達の、建築家の人達の発言聞いてるとね、きちんとできるのかどうか、支える土台が非常に不安定だとか色々聞くので、やっぱりそういうところが気になりますし。あと一番やっぱり、こういう施設っていうのは後の出来上がって使いはじめてからの維持管理がどうなのかってところが肝心ですよね。最初、建設費が多少高くてもですね、むしろ維持管理のほうが後で効いてくるので、利用可能性とかですね、オリンピック後の。それから維持管理費を考えるとやっぱりあまりにも巨額過ぎるんではないかと思いますね」

御厨

「浜さん、今回の事態どうご覧になります」

「そうですね、なんじゃこりゃというのが端的な感じですけども。まあ見境なき爆買いという感じですよね。そういう愚かしさに唖然とすると同時に、もうひとつやっぱり怖いのは、言っちゃったからやめられない。もう決めちゃったんだもん。という感じですよね。決めちゃったもん。な事はいかに無謀な事であろうと実行するという、こういう発想で日本はかつて戦争を始めちゃったというような面もあるわけで。こういうやっぱり発想が広がっていくというのが、これ自体がものすごく高額なる笑い話みたいに思っていますけども。でもこういう言っちゃった事はやる、決めちゃった事はやるんだもんという考え方が横行していく、広まっていくのは非常に大いなる危険性を感じますね。どうしてそういう事になるのと、こんな馬鹿な事はやっぱりやめようよと言う勇気のある人さえいない。世の中がおかしいよって言っているのに彼らの世界ではそれを止めようという発想が出てこない。この構図といいますか、心理に私は非常に不気味なものを私は感じますね。」